第4章5 「覚醒した2人の力」
「んじゃ、禁忌を犯されたらやり返すか」
もう俺に残されている選択肢は1つだけだった。
神から力を授かった時の話だった。
「力の源は本来は2人でないと最大の効果は発揮しません」
「どういう事なんだ?」
「先程、力を与える者と力を与えられし者のお話をしましたね?」
「ああ」
「力を与える者がフィリア姫、力を与えられし者が侑さん。1人では力は最大にはなりませんが、2人なら可能という事です」
「つまり、俺が受け皿になるっていう事か?」
「そういう事です」
「だったら解り易くて助かるよ。つまり…物理的に隣に居なくても可能って事だよね?」
「ご名答です。2人でならなければいけないだけなので、離れていても意思疎通で侑さんも覚醒となります」
「ありがとう。神様」
「いえいえ、ここまでいけばお互い様です」
そう、この時俺の覚醒についても話していた。
つまり、これを使う時が来たのだ。
「フィリア」
「遂に来たのね」
「ああ、俺達の全力をぶつける時だ」
「侑、無理しないでね?」
「大丈夫。無事に終わらせて、この世界でも生きられる様にしてやるから」
「うん!」
そして、俺は力の源の受け皿となった。
その瞬間、俺の髪と目がフィリアと同じになり、周りの大きな木を一瞬で吹き飛ばした。
異変に気付いた魔女は、
「何じゃ!!何が起こってるのじゃ!!」
その時、魔女の後ろの木が倒れた。
俺が、エクスカリバーから波動を出したのが木に当たったのだ。
「何じゃというのだ。あの力は」
「魔女、どうやら俺の勝ちの様だな」
魔女が混乱している隙に、茜、ココア、メルの3人を十字架から切り離して助け出した。
「その姿は何じゃ!!虫!!」
「これが覚醒者の姿だ」
そう言って俺は魔女を攻撃し、魔女は杖で自分を庇い、杖が粉々になった。
「え?」
魔女の驚いている姿を初めて見た。
俺はそれを見ても迷わず魔女に剣を向けた。
「魔女、お前はこれで終わりだ」
「な、何をするのじゃ」
「もう終わりにしよう。全てを」
「い、いやあああああああああ」
「お前はもう負けた。その事実は変わらない。もうこれ以上の力は無いだろ?杖が無ければ」
そう、俺は薄々気付いていた。
魔女は杖を受け皿としていた事。
全ての行動が杖から発動していた事。
魔女も結局1人では覚醒出来なかった。そして物を使ったも覚醒し切れなかった事。
勘が鋭い俺はそれに気付けた。だから勝てた。
もし、勘が外れていても、魔女のこの驚き様じゃ負ける気がしなかった。
恐らく、初めて見た圧倒的な力だったんだろう。客観的にされたら俺もこうなる。
俺はそう思いながら魔女に剣を振った。
to be continued…




