第4章4 「禁忌」
「じゃあ、殺し合いをするかのう」
「もう、お互い話は通じないみたいだな」
「お前が悪いんじゃぞ?」
「お前もな?」
こうして俺達の最後の戦いが始まろうとしていた。
やっと迎えたこの時を俺は待っていたのかいなかったのか、この時はそんな事を考える余裕すら与えてくれなかった。
そして俺は、十字架から解放されて戦闘となった。
「虫から来い」
俺は剣を強く握り魔女に向かって行った。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお」
俺の精一杯の攻撃も、魔女はすんなりかわし、当たる事はなかった。
俺は徐々に疲れていった。
「はぁはぁ」
「お前の力は全く成長していないのう」
何故か思った様な動きが出来なかった。練習で教わった剣の技も何故か出す力が無かった。
「お前、何をした?」
俺はある事に気付いて魔女に言った。
さっきから異様に力が抜けている感じがしたのだ。
それは今も続いていて徐々に。
「やはり気付くレベルじゃったか」
「何だと?」
「十字架に繋いでおる内に徐々に力を失う様、術を掛けたのじゃ」
「お前…またそうやって」
「此方も必死なんじゃ。許せ。ここは戦場じゃ」
「つまりチートしてでも勝ちたいという事か?」
「チート?その様な言葉はよく解らないのじゃが」
しまった。普通に俺が居た世界の言葉を使ってしまった。
魔女に異世界から来たとはまだ知られたくはない。まだ。
「ズルって言ったら解るか?」
「ほう、此方はズルをしていると?まぁ外れてもいないのじゃが」
「お前はこれで俺に勝って嬉しいのか?」
そう言うと、魔女の顔色が変わった。
「嬉しいも何も、お前がそう仕向けたのじゃろ!!!!」
そう言って、魔女が持っていた杖で俺は吹っ飛んだ。
思ったよりも力が抜けており、かなり遠くに飛ばされた。
「何て力だ」
もう茜達3人の姿を少し見えるくらいだった。
その時、俺の脳に魔女が問いかけた。
「今度はこの3人がまとめて死ぬ事になるんじゃぞ?」
それだけは嫌だ。絶対に。
「お前はそんな禁忌を犯してでも俺達を殺したいのか!!!!」
「その気にさせたのはお前だ」
「どういう事だ?」
「私の術を壊し、フィリアを開放したお前だからやるんだ!!!!」
そうか、あれを見ていたという事か。
初めて顔を見た時もそうだったが、あの時から俺を狙っていたという事なのか。
そう、これは別に返り討ちにする為ではなくて、俺はまんまと魔女の策に乗せられていたという事か。
俺はふと笑ってしまった。そんな単純な事だったなんて。
「んじゃ、禁忌を犯されたらやり返すか」
もう俺に残されている選択肢は1つだけだった。
to be continued…




