第3章11 「運命の軸」
「私は、バーンクロス第1皇女「ファレス・アス・バーンクロス」」
俺達の運命は、想像以上に繋がっていたのだとこの時俺は、知った気がした。
「え…?それってどういう事?冗談でしょ?」
俺は、動揺して思わずそう返した。
「嘘ではないの。今まで黙っていてごめんなさい」
「じゃ、父さんは?父さんはこの世界の人なの?」
俺は、父も異世界の人だとすぐに頭に思って質問した。
「ううん。お父さんはこの世界の人。でも侑と同じ様にバーンクロスに来た事はあるわ」
運命とは残酷だ。世界はこんなに狭すぎなのかと。
「でも、第1皇女なんですか?フィリアちゃんも第1だったよね?」
俺が気付かなかった部分を、茜がフォローし質問として投げかけた。
「確かに、フィリア姫も第1皇女です。でも世界の時間って何も一定じゃないでしょ?」
「じゃ、もしかして…」
「そう、私はフィリア姫の時代の500年後のバーンクロスの皇女なの」
「やっぱり」
茜には大体の見当はついていたみたいだった。
「茜さん、どういう事なのですか?」
状況がまだ完璧に飲み込めてなかったフィリアは茜に問いかけた。
「私はフィリアちゃんの世界から500年前に居たから時代が違うと思ったの。でも未来とは」
「つまり、侑のお母様は私の時代の未来が解るという事ですか?」
「それは本人に聞かないと解らないわね」
茜は、母をじっと見た。
「宜しいのですか?話しても」
「聞かないよりは聞いた方が良いかと思いまして」
そして、母は静かに語り出した。
「では、お話しましょう。何故、侑を止めたのかも」
「まず、結論から言いますとバーンクロスは1度滅びます。魔女によって」
「そしてその時代がフィリア姫がまだ姫だった時の話なのです。なので侑が助けなきゃという言葉でフィリア姫の時代のバーンクロスなんだと推測しました」
「そして、私の世界のバーンクロスは繁栄の象徴だった時代とは全く別物です。隠れて生活をしていました。それでも国はあったのです。滅んだ時代に比べて半分以下の規模ですが」
「取り敢えず、ざっくりお話しますとこの様な感じになります。もっと詳しい事はゆっくり少しずつお話します」
話を終えた母に茜は、
「有難う御座いました。そうですね。もっと突っ込んだ話はゆっくりしましょう」
俺はふとフィリアの顔を見ると、話を聞いて真っ青になっていた。
「滅んだ?バーンクロスが…?」
詳しく言わなかったのは、フィリアの顔を見ての判断だとこの時気付いた。
「大丈夫か?フィリア」
「侑…滅んだって事は、ココアとメルの死が報われないのかな?」
「!?」
そうか、滅んだという事は魔女に完全に敗北したって事になる。
つまり2人の死は報われない事になる事って事をフィリアは1番に考えたんだと思った。
国が滅んだ事もショックだが、フィリアは身近な人が報われない事の方がショックが大きいと思った。
「大丈夫。そんな事ないよ」
この時の俺はまだ弱いなと思った。言葉がこれ以上出なかった。
to be continued…




