第3章10 「母の正体」
「久々だな。家に帰って来るの」
俺は、その後の運命に戸惑いを抱く事になるとはこの時思ってもいなかった。
久々に帰った家は懐かしいというよりも、新鮮だった。
半年も戻ってきてなかったらそうだろう。
周りの景色も変わって、家の庭の草の生え方や、花の種類等。
「侑君どうしたの?」
「いや、半年って時は長いものなんだなって」
「…」
「そんな茜さんが落ち込む必要なんてないよ。俺が自分で決めてしたんだから」
「うん…そうだね」
「さぁ入ろう」
俺達3人は、家に入った。
「おかえり侑」
1番に出迎えてくれたのは母だった。
出る時は少し反対気味だったが、この日は笑顔で迎えてくれた。
その対応に少し違和感を感じたが、俺は特に気にも留めなかった。
「半年、あっちに居たの?」
リビングについてソファーに座った俺達に、母は唐突に質問してきた。
「母さん落ち着いて話そう?まずそこに居る女の子は…」
「知ってるわよ。フィリア姫でしょ?」
俺は驚いた。母にはフィリアの名前を一度は出したかもしれない。
しかしどういった人なのかは、まだ話をした事がないのに気付いたのだ。
「どうして気付いたの?」
俺は、反射的に母に質問した。
そして、母は軽く息を吐いてこう言った。
「3人共よく聞いて欲しい。侑にも言った事ないし、言う必要もないと思ったの。でも異世界の話が出て最初は嘘だと思った。でも侑が本気だったのを見て確信したの。侑が行ったのはバーンクロスだって」
母の口からバーンクロスという名を聞くのも不思議に感じた。
具体的に言ってなかったから余計にだ。
そして、続けて言った。
「私が止めた理由。魔女に負けたでしょ?」
「母さん、何でそれを…?」
「私は、知っているのよ。バーンクロスの未来を」
母が言っている事に理解するのに時間が掛かった。
「では、お母様は私達がこの後どうなるか知っているのですか?」
茜が堪らず質問した。
「ええ、知っているわ。けど、その未来に侑の名前は無かったわ」
「どういう事ですか?」
「有ったのは、「クロネコ」「ココア」「メル」の名前だけ」
「つまり、侑君は過去の話に出てきていないという事ですか?」
「或いは、今出ているかかもしれないわね」
「え?」
母は、全てを知っている。或いは知っていたと俺は思った。
そして、最終的に俺は聞いた。
「母さん、母さんは一体…?」
そこに居たのは、今まで知っている母ではなかった。
「私は、バーンクロス第1皇女「ファレス・アス・バーンクロス」」
俺達の運命は、想像以上に繋がっていたのだとこの時俺は、知った気がした。
to be continued…




