表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めたらそこは異世界だった  作者: 柊 空音
第3章 救いの記憶
53/85

第3章8 「動き出そうとした時間」

「フィ…リア」


侑が私の名前を呟いたのだ。

今まで、返事と言っても頷いたりしただけで声を発したのは初めてだった。


「侑?私よ?解る?」

「ああ…今までも認識してたけど、声が出なかったわ…はは」

「どうして急に出る様に」

「あれ…だと思う」


そう言って指差したのは、先程食べたお菓子だった。


「あれ食べて、城に初めて行った時の事思い出して、まだここで終わっちゃいけないな…って。そう思ったら自然と意識がはっきりした。はは…普通に考えたら簡単に考えれる事なのに、やっぱこうなると難しいもんだな…」

「うんうん…良かった。良かったよ」


私は、自然と涙を流していた。本当にほっとしたんだ。侑がもう戻って来ないと半ば諦めかけてたから、本当にほっとしたんだ。


「フィリア泣くなよ…」

「泣いてないもん…」

「夜でも分かるよ」

「侑のばか」

「あはは、フィリアちょっと変わった?」

「誰かが私に迷惑掛けたから変わっちゃったのかもね」

「おもしろいな。フィリアは」

「本当に怒るよ?」

「ごめんなさい…」


2人で話していると、茜が起きてきた。


「フィリアちゃんどうしたの…1人で話…って…侑君!?」

「茜さん。ごめんね?戻って来ちゃった」

「何がごめんよ。戻って来てくれなきゃそれこそ怒ってたわよ」

「ありがとう」

「良かった~フィリアちゃんに感謝しなさいよ」

「解ってますよ」


こうして、凄く急と言えば急な展開になった。私も予想してなかった展開に。

信じて良かった。侑を。そして私自身を。


翌朝、目覚めると侑が机に座っていた。

昨夜の出来事が夢で無かった事にほっとした。

一瞬そう思ったから。


「侑おはよ」

「フィリアおはよ」

「…」

「…」

「あのさ、フィリア」

「ん?」

「どうしてフィリアはこの世界に居るの?」

「それは…私にも解らないの」


私は、この世界に来てから茜に会うまでの事を話した。


「そっか…フィリアも大変だったんだね」

「ずっと意識下に居たからやっと動けた~って感じだけどね」

「どういう意味よそれ(笑)」

「あー笑った。侑のばか」

「はいはい、拗ねないのお姫様」

「そういう時だけお姫様扱いしないでよ」


そんな会話を2人でしていたら、茜が起きてきた。


「朝から賑やかね。夫婦揃って」

「茜さん前にも言いましたけど、私と侑はそんな…」

「見てて心が痛むわ~おばさん。今度は私が病むかも」

「茜さん遠回しに俺をディスってません?」

「大丈夫!ディスってるから!!」

「やっぱり(笑)」


ディスってるって言葉の意味がよく解らなかったけど、何となく茜が侑を貶している様に見えた。


「ねぇ、侑君」

「何でしょう?」

「もう、あっちには戻らないよね?」

「戻ると言ったら?」


この時、新たな時の流れが動き出した。


to be continued…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ