第3章7 「変えなきゃ」
あれから1か月経った。
私は、色々の治療法を試したが、どれも上手くいかなくてもう1か月経ってしまった。
私の身体にも変化が出た。
それはある朝の事だった。
ガチャーン
「大丈夫!?フィリアちゃん」
「だ、大丈夫ですよ…あははは」
「大丈夫じゃないじゃない!?ほらベットで休んで」
「すみません…」
茜に言われて、ベットで休んだ。
私の身体はもうこんなにも限界だったんだと改めて思った。
ここまでやって成果が無いなんて、と自分の心までも黒くなっていく感覚を覚えた。
いつも間にか「変わらなきゃ」から「変えなきゃ」になっていた。
自分を変えるのは時間を掛ければ出来るが、人を変えるのはそこまで容易ではない事がはっきり解った。
私は、このままこうなのかと思った。
「フィリアちゃん、ご飯作ったよ」
私はいつの間にか寝ていた。
気が付けば、夜になっていた。
何時間寝たんだろ?と第一に考えてしまった辺り、駄目だなと思った。
今は自分の身体を休めよう、そう思った。
「ありがとうございます。頂きます」
「どうぞ♪」
茜が作ったスープを飲んだ瞬間、私は驚いた。
「懐かしい…」
「でしょ?でしょ?これ向こうで覚えてきたんだ」
「お母様が作ってくれたスープに似てます。美味しいです」
「良かった。喜んでくれて」
私はある事を思いついた。
「もしかするとこれならいけるかもしれないです…」
「ん?」
「侑に私が初めて作ったお菓子を食べさせたら戻るかもしれません」
「え?お菓子?」
「初めて侑が城に訪れた時、私が作ったお菓子を食べてくれた記憶があります」
そう、あの時はまだ暴走する前の時だった。私は侑に暴走の話をする事であまり意識はしていなかったが、覚えていた。侑が私の部屋であのお菓子を食べた事を。
お菓子といっても、クッキーの中にイチゴジャムを詰めた簡単なお菓子だった。
でも、これならいけるかもしれないと思った。
「じゃ!!早速作ろう!!」
「それ、茜さんが食べたいだけじゃないんですか?」
「あっ、バレたか…」
「良いですよ。作りましょう」
「やった♪」
こうして、茜と一緒にお菓子を作る事になった。
材料は貯蓄している分で足りた。
この時の為に、色々買っておいて良かったと思った。
数時間後、お菓子は出来た。
久々に作ったので、上手く出来たか解らなかったが、思いはたくさん詰めた。
茜が完成してからずっとこちらを見るので、
「1つ食べて良いですよ」
「やった♪頂きます」
子供の様に喜んで、食べた茜は幸せそうな顔をしていた。
「美味しい♪美味しいよ」
「良かったです」
「さぁ、侑君にも食べさせるのだ。これ治るはずだよきっと」
「そうだと良いのですが…」
私は、侑にお菓子を渡した。
意外にもいつもより早く食べてくれた。
私もこれで治ってくれればと思った。
数時間経っても特に変化は無かった。
だから、今回も駄目だと思った。
そう思って、茜にも言われた通り休もうとした時、
「フィ…リア」
その時は、来たのである。
to be continued…




