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目覚めたらそこは異世界だった  作者: 柊 空音
第2章 絶望の記憶
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第2章10 「本気で挑む事の意味」

「なぁ?ギギ、小さい頃に前だけ見てると危ないってお母さんに教わらなかったか?」

「はい?」

「後ろを見てみろよ」


俺がそう言うと、ギギは後ろを振り返った。

そこに居たのは、メルだった。


「君はここで終わりだ」


メルは、そう言葉を放つと、剣をギギに突き刺した。


「うへっ」


ギギは、異様な声を出しながらこう言った。


「貴様・・・こんな事してただで済むと思っていないだろうな?」

「何もしなくても、殺してるだろ?」

「確かに殺すと言いましたが、ここまですると魔女様がお怒りになりますよ?」


その言葉を聞いて、俺は少し笑ってしまった。

そして、ギギにこう告げた。


「心配しなくても、俺達・・・その魔女様を探しているんでね」


ギギは、予想通りかなり不思議な顔をしていた。

刺されてても、こんな顔する余裕があるなんて、恐ろしい奴だと思った。


「ほほう・・・魔女様を・・・」

「そろそろ終わりにしようぜ?ギギ」

「終わり・・・終わりにね・・・」


ギギはそう言うと、また不気味な笑みを見せ始めた。


「貴方は分かっていない。この状況がどんな事なのか・・・」

「どうしてそう思うんだ?お前は今、刺され・・・」


俺が、刺されているんだぞと言おうとした瞬間。

メルが、ギギの身体から剣を抜いた。


「え?メル?何をして・・・」

「侑さん・・・貴方を殺します」

「何を言ってるんだ?しっかりしろ!!メル!!」

「私は、しっかりとしていますよ?しっかりしていないのは侑さんでは?」

「何を言って・・・」

「侑さん、私達は魔女様にお使えする為に旅をしているんじゃないんですか?その仲間を殺そうとするなんて、侑さん・・・貴方裏切り者なんですね?だから始末しようとしています」


全く分からなかった。

メルが何故このような発言をして、俺を殺そうとしているのか。

でも、その疑問はすぐに解消された。

ギギの目の色が変わっていたからだ。

先程まで緑っぽいその瞳は、今は赤に変わっていたからだ。


「ギギ・・・お前・・・」

「どうです?楽しそうでしょ?」

「今すぐにメルを操るのは止めろ!!」

「では・・・魔女様の奴隷として働きますか?」

「何だと!!」


俺は、自分の剣を抜き、ギギに襲いかかった。

その時、メルの剣と合わさった。


「やっぱり、メルが防いでくるのか?」

「メルさんは素晴らしいですね・・・とても優秀な剣士です」

「ギギ・・・お前を許さないぞ!!」

「何度でも言って下さい。しかし私を殺す頃には、そのメルさんも死んでいます」

「お前には一歩も近付けないって事か」

「そうです。メルさんを殺さない限り、私を殺すどころか近付けません」

「お前はそうやって、今まで戦って来たんだな!!」

「察しが良い事で、私は人を操る魔法が得意です」


俺はその言葉を聞いて、ある事を思い出した。

そう、村人の様子だ。

さすがのギギでも、村長の話し方、表情、癖を真似出来ない。

少人数の村の住民なら、気付くはずだ。

という事は、


「つまり、お前は村人も操っているんだな?」

「おーまたまた察しが良いですね・・・」

「さて、そろそろお喋りも終わりにしましょうか?」

「何だと?」

「メルさん、お願いしますね」


ギギがそう言うと、メルは、


「はい、マスター」


そして、合わせていた剣を離し、俺に再び斬りかかって来た。

この時初めて、俺はこの旅の「本気で挑む事の意味」を知った。


to be continued…


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