表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/69

ちょっと待って?

キャラが定まってないです……

「団長殿、連れてきました」

『入ってくれ』


 団長が返事をすると、男性は俺たちの方を振り向いて入り口を開ける。先に入れということだろうか。


「なんか君、犯罪者みたいだね」

「言葉一つで生死が左右されるんでわりとシャレになってないです」


 俺が一体何をしたっていうんだ。……あ、命の恩人に嘘ついてたな。

 心の中で愚痴りながらテントをくぐると、目の前には団長と、予想通りにアンさんとサイラスさんがいる。


「それでは私はこれで」

「ああ、ご苦労。エド」


 あの人エドっていうのか。そういえば、命の恩人の一人なのに名前も聞いてなかったな。緊張してたとはいえ、失礼なことをしてしまった。


「さて、少しは休めたかな、ジン君」

「はい、ご心配ありがとうございます」


 動揺が表情に出ないようにはしているが、内心では冷や汗がだらだら出ている。団長に真正面から見つめられるとかどんな罰ゲームだ。犯罪を犯したわけでもないのに、ものすごくびくびくしている俺がいる。


「それで君の扱いだが」

「……はい」


 うわ、めちゃくちゃ緊張してきた。心臓がバクバクいってる。人に聞こえないかが心配になってくるぐらいだ。

 俺の内心を察したのか、緊張が最高潮になったところで団長が口を開いた。


「それを決める前に、一つ質問させてくれ」

「……はい?」


 え? 今なんて言った? 質問? 今この状況で? 

 役者がそろって、緊張は最高潮。漫画でいえば最終話、映画でいえばクライマックス、受験でいえば合格発表直前のこの状況で質問?

 この人何考えてんの? さっきから俺の顔と頭と心の中は疑問符で埋め尽くされてるんだけど。それともあれかこの場を和ます団長なりのジョークだったりするのかだとしたら一切笑えないしこの状況で笑えるやつとか俺は一人しか知らないんですけどそのへんどうなんですか団長さんねえってば。


「そう変な顔をしなくてもいいだろう」

「いえ、すみません。ちょっと予想外だったもので」

「そうか?」


 そうですよ。なんで本気で不思議そうな顔してるんですか。

 てか、視界の端でサイラスさんが口もとに手をやって震えてるんですが、あれ絶対に笑ってるよね? よくこの状況で笑えるなこの人。ある意味尊敬できるわ。


「まあ、それはともかく。答えてくれるな? ああ、安心してくれ。その答えがどうであっても、我々は君のレベルを上げることには協力するつもりだ。我々にとっても『レベル1』は面倒だからな」


 あ、横で笑ってる人はスルーなのか。あと、質問って言うけど、それ俺に拒否権ないっすよね。すでに口調が断定してるし。しかも協力はしてくれるって、じゃあ、この質問は何の意味があるんだ? こっちには不利益がないから断る意味もないんだが。

 とりあえず頷いておこう。


「そうか、では、君はまだ魔物を仲間にする気か?」

「ええ、まあ」

「それは何故だ? 私たちがレベルを上げるのに協力するなら、もうわざわざ魔物を従える必要はないだろう」

「……」


 確かに、レベルが上がるのなら魔物を使ってのレベル上げする必要がない。

 しかし、それ以上に問題がある。

 第一に、俺がレベルを上げても強くなれるかどうかはわからない。俺のレベルが上がってもステータスは変わらないという最悪の事態を考えると、俺以外の戦力は必ず必要になる。

 第二に、俺のステータスが上がったところで、ギフトという才能があるならそれを活用しない手はない。使えるものはいくらでも使うべきだ。

 第三に、この世界で死ぬ殺すという概念が一般的である以上それに躊躇いを持たないことが最重要であり俺にできるかどうかが今現在わからないのなら他の奴に任せておいた方がいいこれはボーナスチャンスだおぼえておけ。


「どうかしたかね?」

「あ、すみません」


 やべえ、団長さんの眉間にしわが寄った。だからなんだって? すげえ怖いんだよ。

 とりあえず理由を話しておこう。


「いえ何でも。それで理由ですが、俺が自分で戦うよりもこの世界で戦う、あるいは生き残ることができている魔物たちを戦力にする方がいいかと思ったんです」

「ふむ。しかし、あの時にも行ったがわざわざ冒険者にならなくともいいだろう。今はもう私たちに隠すようなことも無く、協力を得られることも確定しているのだからな」

「ええ、だから(・・・)魔物なんです」

「ほう、労働力としてか」


 なんでわかるの? これから説明していこうと思ってたのに、一気にその必要がなくなったよ。一応するけどさ。


「はい。魔物を使えば普通の人間一人分よりもいい労働力になると思いまして。それがこの世界の人に認められないのでないかぎり、人手……いえ、魔物手ですかね? が多いことには困りませんから」

「なるほど。やはり君は賢いようだ」


 そうかあ? 結構誰でも考え付くことだと思う。雇用者というのはある意味『人使い』とも言えるのだし、それなら『魔物使い』は雇用相手が魔物か人かの違いだ。

 そもそもこんな理屈などつけなくても、好きこのんで危険な方を選ぶこともないだろう。


「君ぐらいの年齢だと、どれだけの危険があろうと自分の力を過信して突っ込んでいくもののほうが多いのだよ」

「そんなものですか」


 まあ、自分で全てやっていけると思ってしまう気持ちはわかるが。


「しかし、労働力という意味では奴隷もいるぞ」

「でも、魔物の方が安いですよね。それに、使い物にならなくなった時、見捨てるのに抵抗が少ないのは人より魔物でしょうし」

「ほう、使い潰すつもりか?」

「いえ、あくまでもなりふり構わなくなった時の話です。使い潰したところで特に利益が増えるわけでもないですから」


 実際、本当にやる気はない。ペットとは違うかもしれないが、少しでも長くいればそれだけ愛着がわくし、そんな相手を容赦なく殺すことが俺にできるとは思えない。最後の案は、魔物を使うことによる利益にそれが含まれていることを伝えただけであり、ほとんど建前のようなものだ。

 納得される理由を考えた結果、これぐらいしか思いつかなかったのだ。


「ねえ、レイド」


 おお? ここでルイディアさんが参戦するのか。

 ……あれ、ルイディアさん居たんだ。エドさんと一緒に出て行ったんだとばかり思ってた。


「ジン君と話すのが楽しいのはわかるけど、さっきのやこれからの質問はいま必要かな?」

「別に楽しんではいなかったが」


 あの、ちょっと待って? 一文の中に突っ込みどころが二つ三つほどあったんですけど。

 まず最初に、あれは話していたといえるんでしょうか。単に質問に答えていただけだったと思うんです。次に、あれのどこに楽しんでいると判断できるような要素があったんでしょうか。団長すら否定してましたよ? 最後に、あの質問って必要なかったのかよ! 緊張して言葉選びながら答えてた俺はなんだったんだ!


「必要ないってことは認めるんだね」

「する予定のなかった質問ではあったな。すまない、ジン君」

「いえ、それはいいんですが、この質問って何の意味があったんですか」

「わからないか?」

「どこからが無駄な質問だったのかがわからないもので」


 最初の質問だけしかする気がなかったんだとしても、その後に続けて質問をされた意味が分からんからなあ。納得できないような答えだったとか? 


「まあ、特に話すようなものでもない。気にするな」

「了解です」


 あまり納得はできないが、何か言える立場でもないのであきらめる。

 ここで敬礼とかした方がいいのかね。あ、こっちの人には通じないか?


「で、もう帰っていいの?」

「ジン君はいいが、お前はだめだ。これとは別の要件がある」

「後じゃだめかな?」

「当り前だろうが」


 仲いいっすねお二人さん。ところで、俺はもうでていっていいのでしょうか。帰っていいとは言われたけど、こっちからは声かけづらいので、できればそちらに気付いてほしいのですが。

 あ、でも明日とかこれからの予定とか何も聞いてないわ。いつ、どこで、だれに、どうやって、なにをしてもらうのかは最低限聞いておかないと。あの二人の間に入っていくのはちょっといろいろ抵抗があるけども。

 ま、ここは覚悟を決めて。


「あの、すいません」

「「ん?」」


 二回目だけど、仲いいっすねお二人さん。振り向くタイミング一緒でしたよ。


「俺はこれからどうすればいいでしょう」

「ああ……とりあえず、明日からはサイラスと行動してくれ。必要なことはこいつに伝えてある」

「わかりました。ありがとうございます。あと、明日からはよろしくお願いします。サイラスさん」

「おう、よろしく」


 さて、そんじゃテントに帰りますか。……なんか、自分の家に帰るみたいなノリでテントって言葉が浮かんできたな。自分のことながら慣れるの速いな、俺。


「大丈夫かい? 一人で帰れる?」


 あなたは俺のお母さんですか。心配してくれるのは素直にうれしいが。


「大丈夫ですよ。テントへの帰り道ぐらいは覚えてるので」


 考え事しながらだったからちょっと自信はないが、まあなんとかなるだろう。ならなかったらその時はその時だ。


「それじゃ、おやすみなさい」

「ああ、また明日」

「おやすみー」

「気ぃ付けろよ」

「おやすみなさい」


 これ、何も知らない人あら見たら、家族に見送られてるように見えるんじゃなかろうか。


「にしても……つっかれたなあ、今日は」


 記憶喪失だって嘘ついて、胃が痛くなるような緊張を二回も経験して、人間バーベキューやって、自分の世界について語って……しかも、その間ほぼずっといろいろ考えてたような気がする。  

 うわ、だめだ。気が緩んだら一気に眠気が襲ってきた。ふらふらする。つうか、さっきも最後の方はちゃんと頭まわってなかったような気がする。

 いかん、せめてテントにつくまでは寝ないようにしないと。ああ、でも瞼が重い。

 眠い、けど寝たらいけない、けど眠い、けど寝たらがふっ!? 


「いっつう……」


 やべえ、思いっきりこけた。おかげで頭ははっきりしたが、顔がめちゃくちゃ痛い。人に見られてなくてよかった。もし見られてたらかなり恥ずかしかったところだ。

 とにかく早く帰りたい。もうこれ以上こけるのも考えるのも嫌だ。

 ……そういえば、俺、なんで魔物を戦力にしたいって思ってるんだっけ……? ……まあ、いいか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ