ポジティブにいこうと思った結果がこれだよ
初投稿です。
文章は拙さ満載。おかしな言い回しもあるかもしれませんが、よろしくお願いします。
「今日の晩飯、何だろ」
ぼんやりと呟いた言葉は、吹いてきた風に流されていった。
風が肌に触れたことで、ようやく自分の顔が冷えているのが分かる。
さて、突然だが諸君、俺は冬が嫌いだ。
突然すぎるだのなんだのという言葉は聞かない、聞こえない。
諸君が誰かって? 細かいことは気にするな。
それはそれとして、冬の話をしよう。体のほうは重ね着すれば簡単に対処できるが、顔が寒くならない服はない。というか、あったとしても、顔全部を覆っている状態でコンビニにでも入ったらたぶん通報される。だから嫌いだ。
あと、冬とは反対の意味で夏も嫌いだ。むしろあれは服など関係ない分、冬よりも嫌いだ。
そもそも人間の夏への対策と言えば電気製品に頼り切ることぐらい。
しかし、クーラーの効いた部屋に引きこもっていると、なんとなく負けた気がするのであまり部屋にばかりもいられない。かといって友人の家に遊びに行くのも店に行くのも、結局はクーラーにあたることになる。つまり、夏になると俺は居場所がなくなってしまうのだ。
「……はぁ、寒い……」
いかん、冬をディスるついでに夏の事でも考えて寒さを紛らわせようとしたのに、途中でクーラーが出てきてしまったせいでむしろ寒さが増した。くそっ、やっぱり夏は嫌いだ。
あ、ちなみに何でこんな寒い日に俺が外に出ているかと言うと、うちの暖房機器が全滅してしまったからだ。まあ全滅と言ってもうちには古いストーブ一つしかなかったから、いずれこうなるとは思ってたけど。
そんなわけで、俺こと黒波家長男、黒波 陣は今新しいストーブを買いにこの寒い中、親から渡された金を持ってとぼとぼ歩いているというわけでございます。
くっそう、あの時チョキを出していればこんなことにはならなかったんだ。チョキを出していれば。
まあ、姉にジャンケンなんて心理戦が絡んでくるもので挑んだ俺が悪かったのだが。
今となっては意味のない思考にため息をついて、いつもより視線を少し上げて歩き出す。下を見ていたらネガティブになってしまう。上を向いて歩こう。ポジティブに行くんだ。
湿っている道路の端を歩きながら、また寒さをごまかすために考え事を始める。
雪でもふってればまだ楽しいとでも思えたかなあ。これだけ寒いというのに昨日降ったのはうっとうしい雨だけだったし。そのくせ水たまりは凍っているから滑りやすいことこの上なおごっ!?
「痛ぅ……」
おおお……思わず変な声が漏れてしまいそうになった。さっき考えていた水たまりが足元にあったらしい。ポジティブに行こうと思った結果がこれだよ。二昔前の芸人みたいなこけ方をしてしまった。もしもこれが水たまりでなくバナナだったら完璧だったぞ。
そんなどうでもいいことを考えつつ立ち上がろうとすると、いきなり目の前が影がかかったように暗くなり、
ドンッ!
重い何かが衝突する音と共に、俺の体に衝撃が通り抜けた。