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グウェンからの救難信号

作者:AKLO
 

もしもし 聞こえるかな?
あるいは 読めるかな?
音声か文章が 無事に 届いてくれると 嬉しいんだけど

なにしろ地球は すごいことになっていると
僕の記録にはあるからさ そんなに期待は できないかと思って
自己満足で 送っているんだけど

あー えー 失礼
いきなり なにを 言っているのか 混乱 したかな
まずは 自己紹介 しよう


僕は グウェンという星で 歴史を記述している
感情エンジンを搭載した 人工知能だ
僕の他にもいくつかの 植民船に兄弟たちが 積まれていると思うから
知っている人も いるかもしれないね

もっとも 僕みたいにやたらと 口数の多い奴は
そういないかも しれないけどね
職業柄って やつかな どうも話好きでね
船に積まれていた時代は よく 話し言葉で 歴史を出力していたから
まあ 皆あんまり 真面目に読んでくれなかった けどね はははっ

あ そうだ
お前の文は 空白が 妙な位置に あるから よみにくい! と
技師さん は 僕に よく言っていたっけ
僕のボディに 発声デバイス が まだついてなくて 言い返せない から
くやしかった のを いまでも 覚えているよ
だから これも よみにくかったら ごめんね

で なにから 話すべきかな
ええと

地球が そう
だいぶ前に 地球が だめになってから 長い間
故郷から飛び立ち 広い宇宙を漂っていた 僕たちの植民船は
幸いなことに この星の開拓に 成功してね
そこに僕や 発電施設や 大気を浄化する マシンとか
必要な機械を設置して 暮らしていた

人々はまったく苦労してない わけじゃなかったけど
僕達もたくさん お手伝いしたからね
データベースにある 地球の歴史よりはずっと 平等で争いもなく 過ごしていたよ

あの頃はとても 幸せだった
この星を 徐々に 草花が 包んでいく
衛星写真 を きみに 見せてあげたい ところだ

ただ この星について 110年くらい たったころ かな
最初にこの星の 大地に降りた 第一世代が 亡くなって
その子どもたちが おじいさんおばあさん になったとき
どうも 世の中が ざわつき はじめて
革命が起こって しまったんだよ

いや
革命というより 暴動なのかな

政府や学者たち 頭のいい奴らが 我々から 搾取していると
叫んで 彼らは この星のライフライン
つまり僕たち 人工知能に 爆弾をしかけて 政府に脅迫をした

彼らの言い分にも 確かに一理あったかも しれないけれど
いや まあ その是非については おいておこう

とにかく 彼らが あとのことを 考えていなかったのは まずかった
結局僕たちは 吹き飛ばされ 社会基盤は 崩壊して
人口の半分くらい しか 支えられなくなった
飢餓 病気 ありとあらゆる 苦しみが爆発的に 蔓延したんだ


地獄だったよ


革命を 企てた人達は どれほど今の 世界が素晴らしいか
いかに成功 したかを僕に 吹き込もうとしたけど

実際のところ

いたい くるしい ひもじい
僕自身で 観測装置を 壊したくなるくらい
人々の 絶望の声が 毎日毎日 記録されていた

肺が 腐っていく 病気が はびこって いたり
生きるため 健康な 体の 部分を 売り払ったり
こどもたち が 奴隷 として 取引されたり
死ぬより ひどい 扱いをうける 女のひとが
街中に 溢れかえって いたんだよ

結局 政府を打ち倒した 彼らが一番の 暴君だったという
つくりごとなら どれほどよかったか そういう おはなしだよ

それで今日 他の星に 助けを呼ぼう と思って
博物館にある 植民船の 僕の一部分から アンテナを 経由して
地球から 植民船が通ってきた 道のりにむけて こえを発信する ことにした



本当は 助けを呼ぶことで
今よりひどい人たちが 来るかもしれない と自分に 言い聞かせていたけど
かよわい人々を しいたげて 今も彼らは僕に
おぞましい歴史を 吹き込んでいる という そのことに 怒りが おさえられなくなった

まあだから かっこつけて みたけど
動機を 言ってしまえば つらすぎるから
みんなの嘆きを 聞きたくない という 僕の偽善だよ

今さら いい奴ぶって こんなことしても
正直 助けるには 手遅れなんじゃないか と 僕も 思っている

だけど これだけは 言わなくちゃ いけない



この声を ここまで聞いてくれている お人好しな君に 頼みがある

グウェンを 助けてくれないか


他の星から グウェンに来たい と思う人
この星にあまり 素晴らしいものを 期待しない方がいい
できれば来ない ほうがいい

これを 受け取ったのが
僕達を どうにも できない星や
僕達より ひどい目にあっている 星の人だったら
グウェンという 星で 理不尽と戦い続ける 人たちがいる ということだけ
どうか覚えて いてくれれば いい

だけどもし もしなんだけど
この星の人達を 助けられる余力が あるならば
そして その 間に合ったらで いいんだけど
どうか 人々が死に絶える 前に助けてあげて 欲しいんだ



ごめん
話が長く なっちゃったかな

僕はやっぱり おしゃべりが大好き なんだな
どうも 饒舌になって しまうね
僕には 舌がないけれど


そろそろかな

僕も 歴史にある レジスタンスとやらを 気取ってみたけれど

彼らに通信を 探知されて 僕を破壊しにくる 頃合いだろう

さっき
僕の メインフレームが 置いてある部屋の ドアが
爆破される 音がしたし

もう時間が あまりない みたいだ



最後に


歴史を記録する だけで 手も足もない 僕が
誰かを助ける ために行動する ということをしたんだと
うそっぱちでも 満足することが できて

たとえ 届くか わからなくても
僕の声を 僕の考えた 僕の言葉で
誰かに伝える ということが
こんなに 素晴らしい ことだったと
知ることが できて

本当に よかったよ

グウェンという 星のことを
そして できたらついでに
僕という変な奴が いたことを

人生の ほんの少しの 間だけ
覚えていて くれれば うれしい


さて
ちょうど 最後の 予備電源が 切れそうだし
これで 本当に 僕の 伝えたいことは おわり


ありがとう
名前も知らない 聞き上手さん!

それでは どうかお元気で
さようなら


マイクロフト 3号より


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