8 息抜き 一
ねえ、君。
なぞなぞをしよう。なかなか難しいと思うよ。
カラオケする事。ドライブする事。夜中の学校へ探検する事。
東京へ行く。高層マンションを見に行く。旅行へ行く。野宿する。
夜中のプールへ泳ぎに行く。食事しに行く。誰かの家に泊まる。ゲームをする。
愚痴をこぼす。聞いてやる。車の話をする。夜中の本屋で偶然出くわす。
年賀状を遣り取りする。おごる、おごられる。ふざけあう。からかう。
流行に対して文句をつけ、考える。パソコンを教えてもらう。
僕の知らない友人から電話を受けて話す顔を見遣る。少し悲しくなる。
猫を触る。肩を叩き合う。寒い、暑い思いをする。
笑い合う事。
他にもきっと、僕が思いつかない楽しい事がある筈だね。とりあえず、このぐらいにしておくよ。
答えはわかったかい。
誰かが「いい奴はみんな死んで、俺やお前のような嫌な奴が生き残っちまう」って言ってたよね。
いい奴は死んでしまう。そうじゃないひどい奴はそこかしこにあふれかえっているのに、どうして寂しい思いをさせるのか。僕にはわからないよ。
物言わぬ石に向かって語りかけても、返答はないよね。
もっとたくさん行動していれば。話していれば。体温を感じていたなら、もっと後悔は薄らいでいた筈、なのか、な。
「あなたの事、あの子は特別に思っていたみたいだから……」
この言葉は忘れられない。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
答えは、もうわかってるよね、君。
いつもと毛色が違うだろう。
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息抜き ニ
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銀河鉄道の夜