表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
更新無。途中完結  作者: るんやみ
第二章 学園生活~
40/52

30 体育祭part6

「…よっと」


誰も来なかった中庭の木からピョンと降りた。

私は静かな中庭の薔薇を眺めてから賑やかな運動場に戻る。



中庭から運動場に続く渡り廊下は歩みを進めるたび、少しずつ賑わいを取り戻していく。ほら、目の前にはハチマキを巻いた女子生徒が…。


「遥様ー!!」

「は?」


運動場に戻る途中にハチマキを巻いた女子生徒に教室に連れこまれた。私は辺りを見回すと、何故か皆が来ているのはチアガールというやつの衣装だ。

私は一瞬で理解した。


「はぁ…」

「溜め息なんて遥様には似合いませんわよ」


私を衣装に着替えさせながらも衣装係であろう女子生徒はふふっと微笑んだ。

彼女の持っていた服は赤、青、白と目にいたい色であった。着たくない。絶対に着たくない。何としてもこの体操服は死守せねば。


「あ…あのね、君? 違う服とかはないのかな?」

「ないですわ! 勿論、遥様に似合うように仕立てましたのでどうぞ」


強引に服を差し出す彼女の熱意は果てしれなくて、私は服の中に黒の長袖、レギンスを穿くことで妥協した。


「遥様、お似合いですわ」

「…ありがとうございます?」


私達は応援合戦をテントの中で見る。生徒の何だこいつら、みたいな視線が痛い。そうですよね。怪しいですよね。

落ち込んでいる暇もなく赤組が入場する。赤、白、ピンクの順番だ。





「白組と桃組の健闘を祈ってエールを送る!」


赤髪の少年はその男らしい声を低く、大きく出す。女子生徒達は卒倒している者からこの機会は滅多にないと目をガンガンに見開いている者もいる。彼女達の情熱は、少しだけ分かる。私もゲームだった頃はこんな感じだったんだろうな、なんて。


その少年、赤薔薇 涼率いる赤組は世に言う「学ラン」というやつを着ている。羨ましいよ!! 伝統だからって…




大太鼓と二三拍子の振り付けとか合ってる

長いハチマキを手に持ち、学ランなので一見むさ苦しく思えるが艶やかに優雅に舞うような二三拍子で何とも綺麗。




そしてこちらは白組、緑菜 龍率いるただの体操服を着ていた。

こちらは、格闘技を合わせた創作ダンスは優雅など捨て、男らしさを表現している。

流れ落ちる汗が色っぽい。


自分の喉がごくりと鳴った。

いや、決して食い入るように見てたわけじゃないのですよ?

高校生相手にエロイだなんて思ってませんよ? 



イケメンっていいな、何しても格好良くなるんだもん。イケメンな白組もそろそろ終盤だ。テントの席を立って、入場門へと向かった。

自分の顔が校舎の窓に映り余計悲しくなる。イケメンではないね。

私はうなじに湿布を貼ってきたので、今日はポニーテールだ。ゴムを結び直して窓に笑いかけた。


…私がそもそも言えるのはイケメン、イケメンじゃないではなくて、窓に笑いかける変人だということだった。




更に、入場門の前で皆のミニスカとは違って長袖レギンスの私は目立っていたと思う。

私達の方を見て、司会が大きく息を吸い込みマイクがキーンと鳴る勢いで言った。


「入場します!」

「きゃー!!」


女子生徒よ、それでいいのか。

私は側転をする。

引くよ。私より涼くんのが格好良かったじゃん。普通にあっちの方がいいよね。

私は宙返りをする。

ポンポンなんて持つ気はない。よりチアガールに近付いてしまう。私はむさ苦しい創作ダンスの方が良かったんだ。

私が何かをするたび歓声を上げるファンクラブ。


そこから先はよく覚えていない。



私は渡り廊下へ向かう途中に、肩で息をする。ことごとく緊張とやらは恐ろしいものだ。


「遥姉、格好良かった! 凄かった!」


その声は運動場から聞こえた。

声の持ち主は妹ちゃん。離れた場所からもピースサインを送り、まるで自分のことのように嬉しがる妹ちゃん。

私は息を整えて、妹ちゃんにピースサインをする。大きな声で叫んだ。


「ありがと!」

「えへへー」


妹ちゃんの笑顔に癒される私。妹ちゃんが玲奈達とまた何処かへ向かうのを見送って、床に座りこんだ。誰もいないし、静かに目を閉じる。


「ひゃっ!?」


首筋に冷たいものを当てられた。にしても、何て声を…。誰かに聞かれてないよね?

あれ、そもそもスポーツドリンクが勝手に動くわけないし…

私はバッと振り返った。


「優雅!」


視界に入った黒髪の彼は何故か口に手を当てて、耳がほんのりと赤かった。私は首をかしげた。


「…あんたがそんな声出すとは思わなかった」

「やっぱり聞いてたの」


彼は少し狼狽えて、私から目を逸らした。すると、彼はにやりと笑う。


「あんた、そろそろ着替えたら?」


特殊

百合 鈍感

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ