29 体育祭part5
優雅をばしりと叩いてから競技に戻った。そして、私の気力の殆どが削がれる頃には昼休みになっていた。
凍らせたスポーツドリンクを額に当てるとひんやりとして気持ちが良い。
すると、ぱさりと濡れたタオルを上にかけられた。驚いたのでタオルをずらして相手を見た。視界に入るのは薄桃色の髪に翡翠の瞳。
「…こうすると気持ち良いよ。遥姉、ご飯一緒に食べよ!」
「妹ちゃん、ごめん。ちょっと用事があって! ちゃーんとこの埋め合わせはするから」
ごめん、と謝ると口を尖らせて分かった、と言う妹ちゃん。妹ちゃんの後ろには玲奈と友野さんもいる。
「うん。仕方ないよね…応援団楽しみにしてるよ!」
「えぇ…楽しみにしております」
妹ちゃんは心底嬉しそうに私達に笑いかけた。それに大きく頷く後ろの二人。
「そうですわね。あれを見るためのファンクラブの皆さん、凄い盛り上がりようで、セッティング入念ですもの。」
「それ以上言わないで…」
ふふっ、と口に手をあてて微笑んだ玲奈。私は青ざめていった。
…あのカメラ大量持参の噂、本当だったんだ…! 私、終わった。
それは後で処理します。私はあえて今回は、普通にご飯食べるつもりだ。
「中庭に到着ー!」
私の声が一面に木霊する。
いつも、生徒が沢山いる中庭は静かで風の音しか聞こえない。
ベンチの隣にある太い木を見て笑みを深くした。私はお弁当袋を口で加えてその木に足をかけて、すいすいと上った。木の葉がふくらはぎなどに当たってちくちくとした。
「一回してみたかったんだよね」
私は太い木の幹に座りこんで、お弁当を片手に持った。
木の上で食べるご飯は暖かいような気がした。
特殊
百合 鈍感




