27 体育祭空き時間にて_…
連続投稿です。
嬉々として、足を大きく踏み出す。
今日の体育祭を楽しめるといったら、やっぱり食堂だ。フラグ回収する気はないので、校舎裏のにはいかないのだが。確か涼くんのフラグだったっけな…。もちろん、姉として代わりに妹ちゃんを誘導した。
私は体育祭のその後で面白そうな噂があったために、食堂に来ている。その噂の名前は…
食堂の隠れ主である大食い野郎達がいる、だった。
何でも奇跡の早さらしい。大食い大会が生で見れるとは、かなり楽しみだ。
食堂に着くと、一角で男子が異様な程に盛り上がりを見せていた。次から次へと運ばれる料理の品々を見て私は確信した。
噂の彼らがあそこに居ると。
すかさず空気となった私は、野次馬の隙間から彼らを眺める。すると、視界にお目当ての黄蘭の姿が見えた。
あいにく、私が見たいのは黄蘭ではない。目的の物を見るため視線を下にすると、もの凄い勢いで皿が空になる。思わずほぅ、と感嘆の息を漏らしてしまった。
おかわりをしようと思ったのか黄蘭は、顔を上げていた。すろと、その様子を眺めていた私とバッチリ目が合ったのだ。
彼はどうやら、私を見つた様でにっぱりと笑った。
可愛いよ、可愛いけれども、こっち見て笑わないで、バレるから。
そんな願いをすると、彼は口を開いた。
「どもっ! 姉さん、何してるんですか」
最悪な事に黄蘭は空気が読めない子であった。
「…えっ…姉さん?」
大食いをしていたもう一人の男子が弾かれた様にこちらを見ると声を漏らした。
彼の緑が混じった透き通る金色の髪が眩しい。もう一つ見たかったのはこれだ。黄蘭はいっぱい食べてても違和感がないのだが彼、緑菜の暴食は驚きだ。本当にたくさん食べる。
緑菜は、私を見てますます怪訝な顔をした。
「姉さん?」
「僕の大切な姉さんだよ」
緑菜は、勘違いをしている様だ。それを面白がって黄蘭は追い討ちをかけた。やれやれ、面倒だし私が直々に誤解を解くか。
「そこのケーワイ黄蘭の言う事は信じない方がいいぞ。それと、私の兄弟は妹ちゃんだけだ」
「あ…なるほど」
私の忠告に緑菜は頷いた。彼は、頭が良いので理解するのは早い。
そのケーワイこと黄蘭に目をやるとぷいと面白くなさそうに拗ねている。頬を膨らませていて、
「か、可愛い」
そんな様子が本当に可愛くて、私は黄蘭の頭に手を伸ばした。撫でなでさせてくれたら、今までの許す、と思い彼の頭を撫でた。黄蘭の髪はふわふわで触り心地が良かった。
黄蘭も嬉しそうに顔を赤らめて、目を細めた。
「バカップルですか」
しばらく撫でなでを堪能していると、刺々しい言葉を緑菜は呆れ混じりに言った。私はそんな緑菜の言葉でふと思い出した。…あれ、ここって。
気付いて周囲を見ると男達が生暖かい目で私と黄蘭を見ていた。
あ、やっちゃった。生徒会と仲が良いですよ、と見せつけみたいな事になってませんかね。幸せな学生生活が遠ざかる様な気がする。
でも、仕方ないのだ。黄蘭の顔面が美し過ぎるのが悪いんだ。
……気まずさからしばらく間が空き、一番始めに口を開いたのは緑菜だった。
「篠崎さん、ここにどうして来たのですか? 食堂何てそうそう来ませんよ」
「噂が気になって来た、それだけ。あと、差し入れ」
緑菜の問いに答えると、差し入れという言葉にぴくりと反応する二人。あらかた食堂の食べ物を食いつくした彼等は次なる食べ物を期待しているのだろう。
「差し入れとは?」
緑菜が私に訊いた。どうやら、差し入れに興味津々のようだ。
よしよし、教えてあげようか。
私は後ろに隠し持っていたバスケットを正面へと持ってきた。中にはタッパーが入っている。その中から紙に包まれたほかほかのを2つ取り出した。
「緑菜にはこれ…ほらよ。黄蘭にはこれだ」
それを緑菜に投げつけて、黄蘭には手渡した。そして、ただで作ると思った? もちろん賄賂だ。そして、周りにいた男女にも事前に配っておいた。
「中身何ですか? 気になる!」
「朝から、眠い目を擦って作ったカレーハンバーグだ」
ふんっ、とドヤ顔で言った。
緑菜は毒でも盛っているのかと言いたげな目をしている。
そんなに疑うか? つっついても反応がないし、面白くない。
「いらないのか? では、黄蘭と二人で食べるぞ」
「姉さん! ありがとうございます。僕らの好物だったんで嬉しく食べます!」
黄蘭は可愛い笑顔で即答だった。周りの女子達もキラキラ笑顔にやられてぽーっ、としてます。本当にうちの黄蘭は可愛い。
そんな中で緑菜は、むっとへの字に曲げた口を開いた。
「…………たべます…………」
蚊の鳴くような声でぼそぼそと何か言った。
正直耳が良いわけでもないから聞き取れない。隣を見ると耳が良い黄蘭がにやにやとしている。おい、純粋な笑顔はどこいった。
「ん?」
「食べます」
仕方ないから問いかけると、やけくそ気味に緑菜は私の手からお弁当箱を奪った。
あ…。
緑菜は、大きなハンバーグを一口で頬張った。
彼らが口に含んだハンバーグを美味しそうに食べる姿で優越感に浸る。
「美味しいです!」
「だよね」
「黄、あんまり食べると生徒会長に殺られます」
はっ、と思い出したらしい緑菜が言うとはーい、と黄蘭が返事をした。
時計を見ると休み時間終了の五分前だった。彼らの食いっぷりを見てお腹が空いたのは誤算だったが。
では、休み時間終わったら、また競技。
スキル確認
百合 鈍感




