24 ファンクラブの恐怖
「遥様今日も美しいですわ」
「遥様の使っているシャンプー変わりましたわ」
「あの香りは薔薇ですわね。とても良くお似合いですわね」
端の方でうっとりと楽しそうにに話すご令嬢達。彼女達の視線の先には鮮やかな水色の髪、顔のパーツは整っており妖美な雰囲気を醸し出している女がいた。
あ、シャンプー変えました。
生きてきて四十年くらい、生まれて初めてファンクラブというものが出来ました。しかも、女子にモテています。願いは、切実に男子にモテたい。女子に好かれても、リア充じゃないんだ。
そもそも、モテているのはナンパされている女子を助けたり……イケメンパラのおかげであるが。
というのは、おいといて。誰かとぶつかった。
最近はよくぶつかるな、注意力散漫なのか。
ばれないように溜め息をつきつつ、ぶつかったであろう人に目を向けた。
やはり見たことがある白銀の髪が目に入る。そうでない事を願ってすかさず顔を覗き込んだ…。
その顔をみて私は絶望感から顔を青くした。
願いも虚しく、またもや巻き込まれそうだ、生徒会に。
「ごめんねー、ぶつかって。ちょっと、赤会長に呼び出されちゃって」
「こちらこそ、ごめん」
彼は、白愛 岬。
女の子みたいな名前だけど、男。
生徒会の会計でマイペースで温厚な甘党。
でも、生徒会とは仲良くなる気はないので謝罪だけして去ろうとした。なるべく目を見ないようにだ。あんなくりくりの二重で見つめられたら、丸め込まれてしまう。
「…待って。君、面白いね」
「は?」
白愛は、低い声で呼び止めた。
ちょっと待って、貴方そんなキャラじゃないですよね? 驚きのあまり声がひっくり返った。
彼を見るとまるでハンターの様な目付きで笑っていた。…何か怖いんですが。
とりあえず、回避能力が働いたので逃げる。彼は追いかけては来なかったので一安心した。
放課後、帰ろうと校門へ来てみると、ファンクラブに捕まりました。ついに接触を図ってきたのです。あまりにも、人数が多くて驚いたが、それ以上にカラフルなご令嬢の頭がかなり眩しくてチカチカする。
緑、赤、青…その中でも際立って可愛らしい、軽いカールのピンクの髪を左にくくっている女子に目が離せない。その彼女の少しつりあがった目がきつい印象を持たせます。恍惚として眺めていると、彼女は口を開いた。
「阿達 要ですわ! ファンクラブ団長を務めさせていただいております」
「分かった、よろしく。えっと…お、お友達になってくれる?」
彼女は、お嬢様言葉でも凛とした声が美しかった。…若干鼻息が荒かったのには目を瞑ろう。
もうファンクラブでも良いから、お友達が欲しかった。何と現在のお友達数は…玲奈……あれ一人だけしかいない、という現状である。妹ちゃんは姉妹だから。
私は勇気を振り絞って要さんに問う。
「遥様のお友達なんて、恐れ多いですわ。皆さん遥様を愛でるためにきたのですものね?」
「ええ」
要さんが問い掛けると後ろの皆が力強く頷いた。いやいや、愛でるとかじゃなくて友達が欲しいのですが…。私はもう一押ししようとした。
「では、ごきげんよう」
しかし、彼女達は楽しそうに去っていった。私はただ呆然とその背中を見送るしか出来なかった。
スキル確認
百合 鈍感




