2 願い事
「私の頭は少々おかしいのかもしれないな」
私は静かに呟いた。今の一瞬にあった自称神の存在、私の死んだ理由。普通の人なら不気味がるはずなのに私は、あっさりと受け入れている。実はもう洗脳されているのかもしれない。
しかし、反発して神の反感を買うのは私にとってはデメリットでしかない。仕方ないな。
まぁ、行きたくて行く訳ではない。私は強制的に何処かへ行くだけなのだから。これは運命なんだから。
軽く言い訳をすると心が晴れて、思わず顔が緩んでいく。やばいと思い顔をピシャリと叩く。
「いっ…っ」
力加減を間違え、ピシャリでは済まない程痛かった。私はじんじんと痛む頬を擦りながら考える。よし、叩いた頬で覚悟が出来た。
「…転生する」結局はそれが私の意思であった。もう一度だけでいいから私は私でありたい。今度こそはただ社会に貢献するのではなくて自由に好きな事をしたい。だから私が今成仏出来てないんだ。
てことで、転生先を考えることにした。転生というかトリップはやはり隠れオタなのでゲームへ行くのが有難い。RPG? はたまた育成ライフ? もちろん私はそんな甘っちょろい所へは行く気はさらさら無い。ハンターライフには若干心が揺さぶられたが。私が行くのはある意味心をハントするゲームである。
“乙女ゲーム”
昔、私は世に言う乙女ゲームというものが好きだった。アクションや格闘には、魅力を感じられないが声優さんの美しい声を聞き、高い画質を誇る乙女ゲームに私はどっぷりとはまりこんでしまった。勿論ヘッドフォン着用で。というのは、確かにそれもそうだが言い訳で現実で中の上だった、中の上の男としか面識持ってなくて…単に見た目麗しゅう男の子に好かれて、んふんふニヤけたいだけだけど。
そこの変態とか思った奴! 私だけじゃないから、多分皆そうだよ!
たくさんやったゲームの中からすぐに脳裏へ浮かんだ。私は迷うことなく決める。この手の想像(妄想?)は何度もしたからだ。
大人気乙女ゲーム『幸学園』
他のゲームよりも、内容も濃くて、遥かに高い画質、フルボイス豪華声優だった。痺れるっ…!たまにあるディレクターさんの趣味でロード中に出るオヤジギャグはくそ寒かったが。学園、イケボ、逆ハー、やれ吸血鬼とか悪魔とか(まぁ妖怪の類い)という四大要素が女子にうけにうけて、今では乙女ゲームの代名詞となっている。あと、男同士イベとかあるので他の一部の女子も楽しめるのだ。わっ、私はノーマル派ですよ?すこし、すこーしだけ薄い本とか見てただけですから…!
因みに、乙女ゲーム“ハッピースクール”ことハピスクは、母親を早くに失いある家の里子として平凡に暮らしていた主人公。そんな里親に迷惑を掛けるまいと特待生が授業料免除、入学金免除される幸学園へと入学することが始まりであった。初めの内は主人公は友と平凡に過ごすのだが、ある日学校の最大の秘密を知ってしまう。主人公ちゃんにも特別な力が…!? そして絶世のイケメン達と悲しくも愛しい恋が始まるというのがあらすじだ。
私もすぐにこのゲームの虜になって、はおおおお! って何回萌えたことか。エンドも全種類見て、隠しスチルまで集めた。本当に大作だと思う。でも私は、スマホとかのアプリより某pspとかでやってました。スマホの使い方よく分からなかったんです。スマホ版も出ていたらしいので、やってみたかった。そういえば、キャラも新たに配信とかCMで言ってた様な…。「あああああ!!」私は声あげる。スマホが使いこなせない自分が憎い。
余韻に浸りながらも、ぽちっと画面に文字を打ち、前にあるレバーを思いっきり引いた。同時に、視界の風景がグルグルッと回る。
うええ…酔いそう。
渦潮の中ってこんな感じなのかな。ぐるぐるしてて、まぁそんな命知らずな行為はしませんが。
その間にハピスクの詳細を説明する。このゲームは、攻略対象9人+aである。普通に人多いよね。でもよりどりみどりがこのゲームの魅力だった。好きな顔と恋を出来て、あれキャラかぶってね? と思ってもストーリーが深いので許せるのだ。
まぁ、個人的には、スチルが綺麗過ぎて好きになったんだが。スチルだけでご飯三杯はいける勢いだった。
また、ハピスクは勉強、運動、部活、魅惑(人外を惹き付ける)、イケメン(百合路線もいける)、オシャレ、お金で成り立っていて、各パラメーター100が限界。毎回ボタンをぽちぽちして三年間を過ごす。このゲームはやりこみ作業ゲーだった。ストーリーも三年あって一人のキャラを攻略するのに掛かる時間、四十二時間…長過ぎる。全エンドクリアは余程の廃ゲーマーだ。
ぽちぽちも二周目は、データ引き継ぎがあったので多少は楽になった。
転生するとしたら、私のパラは300で。
ちなみに、お金は現実の1円がゲームで1万パピー。何でこんなに、詳しいかって?ググレば分かったんです。ゲーム内では1万パピーは、1万円に相当する値段です。口座にあるお金持っててやるのだ。
あとは、産まれた時から前世の記憶持ちで。ふっふっふ。色々考えがあるんだ。
立ち位置はー主人公………ではなく、勿論主人公ちゃんの双子の姉役がいいな。
だって主人公ちゃん生で見たいもん!しかも姉なので成長の過程も見れる。一石二鳥。きっと、原作の様に無垢で可愛いだろうな…なんて。ぐへへ。
光の先に白い大きな門が見える。門は天使に縁取られていてこの世のものには思えなかった。門に見惚れると同時にここでも、また私が死んだんだと実感した。
両手を上げ大きく息を吸い込み深呼吸。心の準備は万全である。
じゃあ出発




