19 昼寝
「っはぁ…はぁ…」
草むらを掻き分け、目的の場所に着く。私の体力では教室から裏庭までくるのに歩いてきても息がきれる。なんでスポーツパラ高いのに肺活量がないのだろう。でも、私の体力も普通よりは少ないけれど、けしてこれくらいで汗だくにはならないはずなんです。こんなに疲れるのは多分この学校が広すぎるからだ!! 裏庭まで遠いんだよ! 廊下だけで長さは、前世通ってた公立校の十倍近くある。
ははは、広いと逆に不便だ。未だに校舎で迷っている生徒が跡をたたないらしい。何でも三年生でも迷子になったことがあるとも聞いた。まさしく迷宮。私はゲーム時代ミニマップで場所を覚えているので大丈夫なのですが。
「うぇーいー!!」私は勢い良く芝生に倒れ込む。
にしても、ここ最高のサボりスポット。雑草が生えてて芝生のベッドがあり、なおかつ校舎から見えにくく、しかも日当たりがいいし、人が殆ど来ないらしいです。きっとこれ以上良いところはないね。皆知らない何て勿体ない。
喋ってたら眠く…。昨日の夜、野郎共のカップリングに熱中し過ぎたか。私は小さく舌打ちをする。
重くなる瞼にその身を預けて最近寝不足気味なのも重なり私はすんなりと安らかな眠りについた。
日射しが強くなり眩しくて目を開ける。木漏れ日が先程よりも明るいからかな。お腹も空いている。起きなきゃな、単位の為にも。
「ん…。はぁ?」
背伸びをしようとすると、凄いまぬけな声が出た。
伸ばそうとした手が誰かの腹に当たったのだ。何これ怖い。
恐る恐る確認するために薄目を開ける。
私はその人物を見て大きく目を見開く。それと共に彼の赤の混じったブラウンの瞳も大きく見開かれる。
きゃー。皆の憧れ、イケメン生徒会長様ジャナイデスカ。生徒会とはな…接触したくないから逆に嫌なくらい出会うのかもしれない。もう私はその可能性がある様な気がしてきた。
視界一面に広がる整った顔。空も見えるよ、あははは。
まず一つ言いたいのですが、この体勢…膝枕というものじゃありませんかね。いくら人が来ないからといっても危険は危険です。直に辞めて頂きたい。ファンクラブの目が凄く怖い。他の女子なら好感度上がるだろうけど私はだだ下がりだと思うよ。現在進行形でどん引きしてますので。
アッパーかましたいのだが、麗しの生徒会長にすると私の死の宣告となるのでしないでおこう。
「綺麗…」
にしても、顔綺麗…だな。私はまじまじと顔を見つめる。
この体勢なのでかなり顔は見やすい。彼はそこらのモデルより、鼻筋通ってて高い鼻に、大きいくっきり二重の目に長い睫毛。薄い唇が色っぽさを放っている。こりゃ女子も騒ぐはずだわ。
ん?首をかしげて私はふと脳内に浮かんだ名前を口に出す。
「………涼くん…?」
「…あぁ、久しぶりだな。相変わらず変わらないな。一生」
昔よりも随分低くなった声が私に熱を持たせる。しかし、最後の嫌味が涼くんを思わせる。
小学生の頃より全然イケメン。昔は幼くて可愛いイケメンだったのに、今は凛々しくて大人っぽい。さっすが皆羨む生徒会長。遠い人に感じる、いやむしろ遠い人になって欲しいが。生徒会だからさ…。
ん、何でここに?
「何、何でここにいる? あんまり人来ない凄くいいスポットなのだが…」
「悪かったな…。生徒会室でサボってたら、お前がグースカ呑気に寝てんのが見えたんだよ。サボってもついていけるし」
明らかに不機嫌そうに彼は話す。
私と同じ理由だし…単位大丈夫なのですか?お腹すいたな。今何時!?
「…ちなみに、何時間ぐらい寝てたのだろう?」
「………俺が来てから四時間くらい。やっぱりバカだな。お前一応女なんだぞ」
はぁっと涼くんが重い溜め息をつく。私は別に大丈夫なのに、過保護だ。
てか、そんなに寝てたんだ。寝てる時はすぐ時間過ぎる。
「一応じゃなくて女だ…きっと…」
よくよく考えると44だ。た女じゃなくて熟女だったかな。
すると彼は手を口にあてて何か考えてるようで。
「ぷ、あははははは」
前言撤回…笑いを堪えてたようです。でも、悪い気はしない。
「あっはっはっはっは」
私も笑う。いや、我ながら色気の無い笑い声だ。
笑いあっていると、ぐぅーっと空気の読めない私の腹の虫が鳴る。でもナイスだお腹!良い雰囲気とかならなくて良かった。
「ご飯食べてくる」
一言言い残し彼の返事を聞くことなく教室へ向かう。ここから戻るまでの時間を忘れてたことを後悔したのはこのすぐ後であった。
スキル確認
百合 鈍感




