1 転生
死後の世界は、真っ暗でした_。
いきなりですが、私はどうやら死んだんだろうと思います。
急過ぎて、正直動揺しているのだけど。
しかも、どういう経緯で死んだのか分からない。死んだら天国じゃないし地獄でもない、分からない。ただ一つ言えるのは私が死んでいるという事だけ。
「あはははは」
辺りよりも深い黒の髪を持った私は狂ったように笑い始めた。
死んでいるの!? 嘘でしょ!…などとならないのは私の高スペックという訳でもない。
私に備わっているものそれは…大人の余裕だ。こんな事でいちいち悲鳴をあげるよりも、真っ先に現実逃避している。
もしかしたら、勘違いでこれが夢っていう説もある。夢落ちが一番正しいと思うのたけど。真っ暗な世界っていう何とも気味の悪い夢だし、出来れば早急に覚めて頂きたい。これで感覚があればリアルと思うのだが、五感の中で多分視覚と聴覚しか働いていないのでリアルとは言い切れない。臭いもない、感触もない!
現実逃避なのは、小さい頃はそりゃ、お化けが怖いー! と泣きついていたかもしれないが。学年が上がり、複雑になる科学の力のせいで冷めてしまった。今の世の中、科学で証明出来ないことは、信じられない。鼻で笑っているのでアホらしくなったという方が正しいか。悲しい現実である。
「おんりゃぁぁあ!!」
固く握りしめた手が宙を殴る。
くっ、私がもう少し純粋でこんなにひねくれてなければ…。
もしかしたら、お化けが見えたかもしれないのに。実は、ちょっと見たかったんだ。信じれば見えるらしいし。それに、会ってみればそんなに怖くないと思う。絶対、可愛いお化けとかいる。
一度幽霊を見ようと念じ、真っ暗な一点をじっと見つめる。
…見えない。…当たり前だよね。当然の結果にしゅん、と肩を落とす。
※
暗さは人の恐怖心を煽る。勿論私も例外ではない。
暗闇にも目が慣れてきた。歩いても歩いても変わらない景色。しかも、私が暗闇に溶けてしまいそうで怖い。自分が存在しているのか。不安にもなる。いや、むしろ私が異質なのか。恐怖心は増していくばかりだ。
「はぁ」
少し歩くと気分はあっという間に沈んでいく。私は真っ暗な世界でずっと過ごさないといけないのか。何もないし分からない、死ぬ前にもっと現実を満喫しておけばな。
後悔が募り、今更ながらぎゅっ、と唇を噛む。
仕方ないと呟いて、重々しく視線をあげた。
「…はっ」私はおわんくらげくらい輝いているないかを見つける。にしても、周りの暗さも異常だがその何かはあまりにも目立ち過ぎて明らかに怪しい。うん、怪し過ぎる。
ふっ、しかし私にはスルースキルが。長年で培ってきた素晴らしい能力なのだ。
その方法は!? …頑張って気を逸らそうとうろうろする事である。…が体は正直だ。
あー、うっ! 必ず巻き込まれる。早まるな!
自分自身に反抗するも結局メモの存在が気になって仕方がない。近くまでいきメモらしきものを拾う。
もしかしたら、これで暗い世界から出れるかもしれないという淡い希望を持って、メモに視線を落とした。
“篠崎 遥29歳。
バツ2女。
幸いお金にも困ってない。
父親が医者なので。
得意なことは、剣道。
これでも学生時代に最強でした。
あと、料理と多少の怪我の手当てが出来ることです。”
メモに書いてあったことを読みあげる。しばらくすると頭痛が起こり、すぐに進行していった。
痛い。何これ。
私は立つことすら、ままならなくなり真っ暗な床へと倒れ込んだ。
一面の黒い景色から意識が遠のくのが分かる。
※
コンビニで買った肉まんを片手にベンチに座りこんで
ハァ
空を見上げて息を吐くと真っ白になる。
父様…ごめんなさい。
私は冷たいベンチの上で目を伏せる。
少したってそっと目を開けると視界の隅にさっきまでなかった黒いモヤがあった。
なんだろう?
じっと目を凝らすと
とても毛並みの美しい目の赤い黒猫がいた。
哀愁漂う悲しいに私は目を放せずにいた。
しばらくするとその黒猫が吸い込まれるように車道へと向かう。
危ないっ!!
思うよりも早く足が前に出た。
“キキキキキィイイ”
ダンプカーが目の前に迫る。
タイヤと道路が擦れあい、耳をつんざく音がしきりなしに聞こえてくる。
咄嗟に黒猫をつきとばした。
猫は、静かにこちらを見ていた。
助かって良かった…
“ガンッ”
その瞬間、体に重い衝撃がはしる。私の最期に嗅いだのは焼けたゴムの臭いであった。
私はここでも意識を手放した。そして、ブラックアウトを初めて経験しました。
「ん…」
重い瞼を開き、次に目を開けるとまた、真っ暗だった。
そりゃ急に生き返る訳ないよね。今の私の過去…?鮮明に流れた夢は、感覚も現実に似ておりとても夢とは思えなかった。懐かしさすら感じられた。するとまた頭痛がした。ガンガンと響く頭痛は不快感しか生まない。
はぁっ、と私は重く溜め息をつく。
考えるの止めよう…。
さて、私はさっきと同様ここどこ、どうしようと考えるよりも好奇心が勝った。知らない町に一人で来てわくわくする感じだ。ふむ、暇だし探索しようか。
「誰かいる? いなくても返事よろしく」
『こいつは…ほぅ…おぬしが選ばれたんじゃな?』
低い声が微かに聞こえた。幻聴かと思い私は瞬きをする。
『どうやら、本当のようじゃの。今晩は。選ばれた愛くるしいお嬢さん』
すると、目の前には腰くらいまでの白銀の髪を纏めて後ろに束ねたお爺ちゃんがいた。ただ、外見を見て言える事は、一般的にいう普通のお爺ちゃんとは少し違うようだ。愛嬌のあるしわくちゃの顔…の上には光る輪っかが、背中には真っ白な羽が生えているのだ。
そう彼はまるで、コスプレイ『おい! お前何考えとる』鋭いツッコミが飛んでくる。
どうやら彼の前では思っていることが見透かされる様だ。うむ。
『主はキリがないのぅ。良いとしようではないか。にしても、自己紹介がまだじゃったの。初めまして、わしは世界をつかさどる神のオルジィじゃ』
オルジィと名乗るお爺ちゃんは、自分の神々しい白銀の前髪をくりゃりと手で握り、小さく溜め息を吐いた。
私の頭では小難しい話の類いは苦手だから、理解出来ない。出来れば考慮して欲しい。でも、要は神話にはいないのだが隠された神みたいな感じですかね。
おおぅ、中二っぽくて案外格好良い。
と、思っていると神はやたら深く頷いた。褒めて褒めてと瞳をうるませている様だが相手の思うつぼは癪だ。私はぐっと口を紡ぐ。無視だ、無視。
…一応挨拶位しといた方がいいよね。
「えっと、オルジィ! 私は篠崎遥です。神様に出会えて光栄です。以後宜しくお願いしますね」
『よっ呼び捨て…コホン。宜しく頼むのぅ。まぁ、話を戻すがわしは手違いでお主を死なせてしまった。本当は猫は、奇跡的に無傷に助かったのじゃが…あー、つまりお主の死は無駄死というわけじゃ』
ぺこりと頭を下げたのだが、呼び捨てに彼は「うわぁ…」とあからさまに嫌な顔をした。でもあえて私は気付いてませんよ感を出しつつ無視をする。まぁ考えてる事が分かるのなら意味がない気がするのですが。
にしても、やっぱりあの夢は、過去だったんだ。なんでだろう、他の記憶はきちんと覚えているのにあの夢だけが濁っている。
…確か前世? の私は、父と母がいて一人っ子だった。
自分で言うのもあれだが両親は、かなり優しかったと思う。私の容姿はそこそこ。まぁ、中の上ってやつ? 平凡な女の子、腐りかけてたけど。勉強が嫌いで…三度の飯より仕事が好きだった…はず。
何故か引っ掛かったけど、頭痛が復活しそうなので止めた。
にしても神の言葉に気になるものがあった。
「無駄死!? 」
そっか、無駄死……じゃあ死ぬ意味…。でも猫は、助かったのだろうか。
私は怖かったのだが、トラックにはねられるという貴重な経験を出来たのでよしとする。
うーん、余生はこのままオルジィとラブラブフラグでもたてますか…。あんまり気が進まないけど。
『やめろ! ということで、しゃーなしでお主の望む世界にスペシャルサース付きでとばしてやる。気を付け……』
「勿論!」
冗談。枯れ専じゃないし。
私の無様な言い訳にオルジィは優しくその白銀の目を細めて笑っていた。しまいには、オルジィの声も遠くなる。
何故だか、光に吸い込まれていくとき、オルジィの髪が漆黒だったような気がした。
初めて書かせていただきました。
初心者ですが読んでもらえたら光栄です。よろしくお願いします。
誤字、脱字が多いと思います。なるべく修復してるんですが…お気づきの点がございましたら、おおしえ下さい。
また、編集途中ですので、場面がいきなりきりかわります。頑張って一週間以内には続きをかくのでごめんなさい。
タイトル前の数字にあまり意味はございません。




