11 登校日
綺麗な外見のマンションの一室。今日は登校日である。
桜が舞う頃に、頗る楽しみにしておった入学式。私は朝から機嫌が良い、なんてったって鼻唄つきだ。
主人公ちゃんが制服着るんだよ! これほどビッグイベントなんかない。そして私は誰よりも先に制服姿を見る。のふふ。
にやにや、のふふふしていると何故か家に押し掛けてきたボスに冷ややかな目線を送られる。私はそんな可哀想な子を見る目で私を見ないで! 悲しくなる、と抗議しようするとドアがキィと音を鳴らして開く。その姿を見て私はボスへの敵意を完全に失った。
あ、書斎は8年も放置してて埃まみれで、とても掃除意欲が起きませんでした。
あの頃の癒しの空間がハウスダストアレルギーの元凶となった今、近付いてさえいない。いつかは、頑張って掃除してあの懐かしの空間に戻したいのです。
「どう…かな?」
妹ちゃんが照れて顔を背ける。
と、同時に
「うぎゃーす!!」
私は、鼻を抑える。鼻血ものでした。ちょっと似合い過ぎじゃ有りませんか?
薄桃色の髪の毛によくはえる白色を基点としたの制服に、水色のラインが入っている。
ネクタイも水色で学年が上がると赤、黄緑と変わっていく。
そこらの制服なんかより遥かにお洒落で可愛い。学生との意見を元にして作られたそうだ。学生が着たい制服を纏めるとこれになるっぽい。成すことが桁違い。確かに、ゲーム時代からこの制服可愛いってスレがあったような気がする。なので、これを着ているだけで一目置かれるらしい。学校以外では着ないようにしなければならないな。
制服デートとか、実は憧れてたのだが、この制服のせいで悪目立ちしそう。
そもそも、デートの相手がいないからな…。は、はははは。
でも、妹ちゃんが着ると、清潔感がでてて『ピュア&ホワイト』だな。
だけど、背が伸びるだろうと思い大きめのブレザー。なので、世にいう萌え袖で頼りなさがすこし出ている。
「似合わない…よね?」
眉を少し下げて上目遣いで妹ちゃんが私を見上げる。本来なら私の方が背が低いのですが妹ちゃんが少し屈んでいるためこの神ポーズにまとまっています。写真に撮りたい、いや切実に。
「似合う似合う」
妹ちゃんの中のねえさまのイメージ崩壊を防ぐために、思ったことの一部分しかいわない。
「遥姉大好きVv遥姉も綺麗だよー!」
楽しそうな口調で、てくてくと私を鏡の前へつれていく。
縦長の鏡を見ながら、くるっと回ってみる。反動でスカートがふわりと浮く。
妹ちゃんが隣に立つと余計悲しくなるね。妹ちゃんの方が背が高くてスタイルもいいし。私の顔丸いな…ダイエットした方がいいのかな。
「喉乾いた。茶」
そんな私に見向きもせずに厚かましいボスに敵意がまた湧いた。少しくらい褒めてくれたっていいと思う。
そんなことで、ウフフキャキャキャと姉妹でしてたら、もう時間になりました。
主人公ちゃんのイベント見るためにも、早くいかなくてはいけない。覗き見するぜきゃっほい。私はイベントが凄い好きなので、頑張って貰わなくては、妹ちゃん。
家のドアを開けると、春の日差しがぽかぽかと暖かく降り注いだ。
さらさらと二人の髪がなびく。学校家が近いのでそれなりにゆったりと出ても間に合うことが嬉しかったりする。
「格好いい人いるといいな」
私は何となく恋バナを持ち掛ける。自然にだが。
「そんな人いなくていい」
すこし、妹ちゃんの声のトーンが下がり不機嫌になったことが分かる。
だっ、断言。理由はなんだ。ま、まさか、彼氏がいるとか…。
「ん? なんで?」
動揺を隠して冷静に言う。声に出てないことを信じて。
彼氏か。彼氏なのか! それなりのルックスじゃないと許さないよ。顔が微妙だったら、バレンタインのチョコ腐ってんの混ぜるから! 恋愛勝ち組は、纏めて返り討ちじゃああ!
「だって遥姉がとられるの嫌だもん! だって私が遥姉を一番大好きだもん!」
瞳に涙を溜めながら言い切る。
ハートを撃ち抜かれた。
※
雲から光が差してくる…いい加減なれた…。
『おぬ……』
『お主おいお主!』
渋い声が頭に響いた。この声は…やっぱりオルジィであった。やっほーどうしたの?
『いい忘れたことがあったのじゃが、パラメーターが発動するのはこの高校からじゃ』
っ、と私は喉まで出かかった悲鳴を抑える。
…じゃあ私のイケメンパラが発動してなかったってこと!?
困ったようにオルジィが頬を掻く。
『まぁそうじゃな。』
じゃあ私が女の子を口説きたくなるのは…。
『本能とスキルじゃな』
スキルと信じたい。信じたい。
『おー忘れておった! お前さんに渡すものがあった。この首輪受け取れ』
ゴソゴソと羽から出てきたのは凄く小さな箱だった。開けると中にあったのは、深い赤色の宝石の周りに繊細なガラス細工があしらわれた、いかにも女の子が好きそうなデザインのネックレス。中々センスあるね、ふっ、オルジィ慣れてるな。
…え。まさか愛のプレゼント? それとも餌付け? 『違う!』
『お前さんには、この後災難が降りかかる。だから、わしはお主を守る身としてやらねばならんのじゃ。だから御守りとでも思っときゃあいい。伝えたぞ。じゃあな』
笑顔で手を振りかえす。
……え、今軽く死亡フラグ宣言されたよね。死なない努力はする予定だ。二回死ぬのは何か…うん。
あーでも相変わらずダンディだった。
年とるスピードがこっちとは違うのかな?
取り合えずアイテムを手に入れた。
真紅の首輪
遥
百合 鈍感




