10 帰国
帰ってきましたー
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いつの間にかあれから二年と十一ヶ月。今から飛行機が着陸する。懐かしのふるさと日本へと。
思い起こせば八年も妹ちゃんに会ってないのだ。私は妹ちゃん不足で大変だが、妹ちゃんは、超美少女になってるんだろうな。それは、それは主人公ちゃんの様に。
手紙で知ったけど、男子に呼び出しもくらったらしい。そりゃ、妹ちゃんに手を出さない男子何かいないと思う、うん。
でもいいな。と思ったりもする訳だ。告白何てされた事ないし、どうせ私は恋愛負け組ですよーっだ。リア充は、末永く爆発しなさい。
にしても、早く拝みたい愛しの妹ちゃん。
そして私も、この三年間で成長しました。
身長は伸びないけど、特に精神年齢が…ね。もう、現実逃避をするしかない。
あと、世界的モデルになったので目的終了だ。長いようで短かったな。
今、それなりに有名なので闇社会さんに暗躍してもらって入学までに平凡な人にならなくてはいけない。二度目の人生だからって、学生生活は穏やかに過ごしたい。生徒会、及びゲームには関わらずに、だ。バットエンド回避で、もし可能ならば妹ちゃんのイベントを見るくらいはしたいが。
「お客様、静かに!」
CAさんが口元に人差し指をあてる。
あれ? いつから声に出してたかな? ま、いっか。
※
一時間は、あっという間だった。
「到着。日本の空気懐かしいな」
よく寝て上機嫌な私の空港でじりじりと歩く姿は、行き行く人から見たらかなり不気味だろうな。あぁ。視線が痛い。
ふと、目の前に見覚えのある後ろ姿に心高鳴る。私のレーダーが反応していた。
薄桃色の髪、翡翠色の目、あのオーラは、主人公ちゃん!
幼ささをもちつつ、昔の面影を持っている。帰るって伝えてたから迎えに来るって言ってたけど、律儀に待っててくれるとは。
よーしイタズラをしようではないか。確か主人公ちゃんて反応が可愛いはずた。私は一人で頷いて決行する。
そーっと忍び寄り…声色を変える。ニヤける顔をひきつらしているのはバレないと思う。
「あの私服警察のものなんですが…お話よろしいですか?」
「はっはいぃ!! 私服警察官さんお疲れ様です」
妹ちゃんは可愛く敬礼をしビシッと固まっている。そんな様子に私は苦笑してしまう。
分からないんだ…ちょっとショックだけど可愛いからいいや。近くで見れば見るほど美少女である。本当に私と血の繋がった姉妹なのか、疑問に思う。
「どうしました?」
彼女はそう問いかけて私の顔を覗き込む。
近くに来られるとふわりと漂うシャンプーの匂い。妹ちゃん、女子力高けぇ!
「単刀直入に聞きます!! 貴方がしたのですか!!!」
「えっえっ、私何もしてませんよぉ」
妹ちゃんは、涙目になりながら必死に訴える。
私は、一つ咳払いをして声色を変えて妹ちゃんの隣へ近付く。声もいつもの調子に戻した。
「うそうそ。覚えてないの? 覚えてなかったら…」
「ごめんなさい!!! 覚えています!!」
妹ちゃんは手を横に振って慌てて弁解する。
この必死さが怪しい。絶対分かってないやつだ。すこーし悲しいかな。すこーしね。
「言ってみて」
私は妖しく笑いかける。
あー、私、表情に出たよね。ごめん、確信犯だ。
「わっ分かりません! 覚えてないです! ごめんなさい!!」
凄く素直に妹ちゃんが頭を下げる。
「ごめんごめん。冗談冗談! 遥だよ」
「えっ! 遥姉! 美人過ぎて分からなかったよ!」
「どの口かいうんじゃい。どの口が」
妹ちゃんの両頬を優しく引っ張る。美人な訳なかろう。あと妹ちゃんに言われると逆に傷つく。ねえさま呼びもなくなって悲しいのだが、案外この呼び方も嬉しい。
いたいほーとか言って、手をぺちぺちと叩かれる。
素直過ぎる妹ちゃんのこういうところも好かれるんだろうな。私はひねくれてるからな。
私は前にぴょんっとジャンプし、右足に力を込めて、くるっと振り返る。
「じゃあ帰ろっか!」
すると妹ちゃんは、とびきりの笑顔で頷いた。
遥
百合 鈍感




