9 幼少期
唐突です。凄く唐突です。
六月。じめじめとする梅雨。この季節ほど憂鬱な日はない。
毎日雨、雨、雨!!
はぁ、と私は深い溜め息をつく。雨って気が重くなる、湿気というのが。
現実逃避するか。私はペラペラと机の上の雑誌を捲る。
内容は、ファッション系であまり興味を持てなかった。ピンク、モテコーデ…あはは。
堪らず大きく欠伸をする。
無事双子7歳になりました。
天才は、疲れるので逃げ、にげまくり、闇社会で暗躍して有名人になりました(闇のほうで)
だって5歳でお見合いは、信じられない。流石に将来は、自分で決めたい。今のころ私の将来の夢は、平凡で、すぐに就職先が見つかる様な資格職になろうかなと思っています。お年寄り社会だし福祉職が目標。とにかく目立たなくて安定した収入が得られればそれで良しだ。
マンションの一室+特注書斎と暗躍費用で持ってきたお金、全部なくなった。残りは、もうこの世界の収入しかない。なので将来、普通の仕事を真面目にして、コツコツ貯金、節約は大切である。幸せな老後のために使おうと思う。今の収入の通帳でも、遊んで暮らせると思いますが、念には念を入れた方が良いと判断したのだ。
それに、通帳の0の数が増えていく快感は癖になるからだ。ぐへへ。
そのお金で最近まで、妹ちゃんと遊んだり、近辺で旅行に行ったり幸せでした。近場なのは、費用削減だ。
海でクラゲと戦ったのも大切な思い出。詳しくは…悲しくなるからいいや。
「雲の上だぁ…すごっ。ねぇ、高いよ! 起きて」
「…煩い」
初めての飛行機ではしゃいでる私を見て、面倒臭そうに目を閉じる少年。
赤い綺麗な髪が特徴的なこの少年は某有名モデルである。
ふんっ。一人で騒いでも虚しいので、大人しくしとくしかない。
アメリカ行きの飛行機。直通便で一般人のエコノミークラス。やっぱり普通が一番落ち着く。この狭さ最高っ! お菓子でも食べようか。るるるー。
こうなったわけは、7歳のある日の日常。
※
「ねえさま、見て下さい」
相変わらず可愛らしい。高いけど耳障りの良い声で妹ちゃんは、声の質も嬉々としていて分かりやすい。上機嫌だ。きらきらと目を輝かせて何を持ってくるかと身構えていると、遠くからでもよく分かる“ド”派手な一枚のチラシを持ってくる。それを見て私はほっと息をついた。良かった、危険な物じゃない。
そしてチラシに目を戻す。
どれどれ?
私はチラシを手に取ると近づいて見てみる。でっかいポップ達が我先にと目立とうとしている。その中でも一際目立つ黄色い文字を読んでみる。
「幼稚園女子に人気の幼稚園男子モデル涼!? 」
私の叫び声にびくっとした妹ちゃんだったが、笑いかけると笑い返してくれた。でも、読んでみて分かる。最近は進んでいる、あははは。幼稚園でませてるんだか。まぁ、顔は可愛いは可愛いね。
興味の無くなったチラシをぽいっと投げようとした時、何かが引っ掛かりチラシを二度見する。
ん…この名前どっかで聞いたことあるような。うむ、気のせいか。
「うん! んでね………サイン欲しいの」
「へぇ」
妹ちゃんがきゃるんと上目遣いをする。私は自分の声が低くなったのを感じた。まだ、男に興味を持つのは十年早い。しかし、疑問が浮かんだ。ちょっと待て、サインなんて言葉何処で覚えた。
でも、妹ちゃんの願いは叶えてあげたい。それが親心と言うものだ。
私が奮闘すること十分、妹ちゃんは律儀に正座して私の返答を待っている。その健気さに私は心射たれた。
うん、スーパーモデルになってやる。受かるか分かんないけどな。やって後悔したほうがいい。
「ねえさまは頑張る」
私は白い八重歯を見せてニカッと笑いかける。妹ちゃんの不安そうな顔が笑顔となり、きらきらと目を輝かす。
「ねえさま、だいだいだーいすき」
妹ちゃんは遥に抱き付いた。
昇天…
※
というわけでモデル界へ
有名雑誌の書類審査で受かってしまい、スーパー読者? モデルにデビューしました。
まさか。第一審査で受かるなんて…軽く引く…。私のどこが良かったんだろう。審査員の目は腐っていたんじゃないか。絶対そうだ。うん。
ていう気分になりましたが、頑張っている。仕事は、きちんとこなす主義なので。
「今日は、華ちゃん遥ちゃん、涼くんでスリーショット撮影ね! 元気に行くよ♪」
「「「はーい! 分か(りました!・ったよ!)」」」
カメラマンさんの言葉にすぐさま反応する。
私達は、撮影現場で無邪気に笑う。
初めは、難しかったけど何とか出来たんだ。これを難なくこなすモデルさん凄いと思う。
「いいね! その表情最高よ、うふ♪」
おっおねえなのか…初めて見た。でも、まぁ可愛くないわけではないし。私は、心の中で頑張れ! と応援した。
隣の少年に目をやる。ていうか、涼…涼…誰だっけ? やっぱり気になるな。ここまでのキュートフェイス、忘れる訳ないのにな。
前世ではあまり役に立たなかった頭をフル回転する。
「集中しろ! この世界可愛いだけじゃやってけない! 特に…お前見たいのはな!」
うん、お前がな。目上に向かって何言ってるんじゃ。華ちゃんは、貴様のニコ上だぞ。因みに私の三コ上。華ちゃん親衛隊としては、女神華ちゃんに向かってその口の聞き方許すまじ。絶対報復してやるからな。
覚悟しとけよ。性悪少年。
口悪い…。彼の言葉が胸の中で弾けた。
思い出した!!!
彼は攻略対象キャラだった。流石妖怪、あなどれない。
確か性悪少年は、赤薔薇 涼。
幸学園の生徒会の生徒会長。悪魔の呪いに憑かれてて美貌をもち、バットエンドの多いキャラクター。ぶっきらぼう。バットエンドが多いってことは、憎まれてたのか…ご愁傷さま。好物は、アップルパイ。
引き出しから中身が出てきた感じで、もやもやが晴れたのだ。気分が良い。
そして撮影が終わったのは、日が沈む夕刻であった。
「はーい! よかったわよー!! そうだわ!私の親戚いるし、あなたたちハリウッドについてアメリカ留学してみない?」
機材をがちゃがちゃとしている中でガイドさんの声が響き渡った。
…え、行きたい!海外行ってみたい。アメリカというのもポイントが高い。妹ちゃん…は無理だよね…でも頑張ってスーパーモデルになってみせるからね(目的変わってきた)
「「行く!!」」
はもった。声の方向を見ると私は唖然とした。え…こやつも…げふげふ、この人も? 私がその後にあからさま嫌な顔をしたのが分かったのか、彼、いや涼くんは赤茶色の瞳で睨んでくる。
そうだ華ちゃんはどうなのか? くるっ、と私は凄い勢いで回転する。
遥は華ちゃんを見つめた。
「ごめんなさい。ちょっとうちは…」
彼女は歯切れ悪くうつむいて言った。私は何故か涙が。
…。そりゃそうだよね。普通は親が心配するよね。
という事情があった。
まぁ、涼くんも好きだけど、女の子がいた方が嬉しい。
華ちゃんは、お友達。お友達だよっ! 重要な事なので二回言いました。
スキル確認
百合




