9 友達?
「なるほどな…」
母親に事情を聞くと何でも少年は、この性格で友達少ないらしい。いや、少ないなんてもんじゃない正真正銘のぼっちだ。両親共に大きい企業のお偉いさんで中々会えない息子を甘やかしてこうなったらしい。
ふむ、確かハピスクでは頼りになる副会長じゃなかったか?
私には彼と仲良くなるメリットがない。しかし、ぼっちという境遇に共感した。何故なら病院生活では私もぼっちであったからだ。一人の時間はとても長く、寂しかった。
仕方がない。可哀想だし、私直々に手を回してやるか。
「分かりました。責任を持って友達百人にします」
「いや、そこまでじゃなくてもいいんだけど…」
一度決めた私に歯止めは利かない。諦めた方が賢明だぞ。とくにもかくにも私は友達計画を遂行することにした。
「私は篠崎 遥、三歳だ。呼び方は篠崎とかで構わない」
緑菜少年に近づいて出来るだけ優しく、にこりと笑いかける。ついでに、手を差し出しておいた。握手を請求しているのだ。そして上から目線なのはなめられないためだ。
こんな事、面倒臭いが取り合えず私という友達一人いれば何か変わるだろうと挨拶をしてみた。
「我は、月臣。緑菜月臣である。我の下僕としてせいぜい頑張るが良いな」
「はっ、こっちの台詞だ」
(とても四歳児とは思えない)緑菜少年は私の手をぐっと握った。
入園式、どうやら偉そうな者同士の友達関係が築かれました。
緑菜と別れると私は妹ちゃんと共に念願の門を潜りました。やっと潜れた!! にまにまと喜びに浸っていると「ねえさま?」妹ちゃんに心配された。
お姉さまは、そんなにヤバい顔だったのか。少しショックだ。
宏がいなくなっていたが重要なことではないと思い、そのままにした。
とまあ、ばかでかい門を潜って校舎へ入ると、またもや呆れる程広かった。ここは、本当に幼稚園なのか。
その内装を見て、ただあわあわとするしかない。堂々となんてしてられるまい。
「ご入園おめでとうございます。お嬢様方」
「ええ、誠にありがとうございます」
そして、入り口で交わされる挨拶に胃が痛くなった。小さな少女達はスカートの端を持ち上げる。
マセガキばっかりだ! 人のことはいえないのだが。ここはやはり第一印象が大切だ。前世では出来なかったお嬢様を演じようではないか。
「ごきげんよう、皆様」
淑女の礼を見よう見まねで堂々とやってのけるとほぅ、という感嘆の声が上がった。




