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三毛猫ミケ2  作者: 月並
1/1

ミケと飼い主

皆様ご機嫌用。私の名前は、『ミケ』である。


私の20歳半ばの飼い主は、コンビニのアルバイトをしているが、どうやら支店長から大幅にシフトを減らされたらしく、ここ最近はよく一緒に居る。 物書きの飼い主は、布団にうつ伏せに寝そべりながらカタカタとパソコンを打ち鳴らす。どうやら今日は、調子が、良さそうだ。


しかし、思った矢先だ。「詰んだ!」と大声で叫びながら布団に潜り込んでしまった。やれやれ、例のあれがでてくる。「ミケー。ミケー。」布団の中から叫ぶのでこもった声がする。やれやれと、私は飼い主の背中にどすんと乗っかる。


「猫の上にも3年……。世知辛い世の中ぜよ」そう言って飼い主はむくりと起き上がる。私は、軽やかではない足取りで畳の上へと跳びおりる。

すると、飼い主は、まじまじと私の顔をみてきた。「ミケ、でぶ、ぶさいく、心の友!ぶっ!ジャイアン!」そう言って布団の上を転げ回りながら爆笑する飼い主。どうやら「心の友」にジャイアンを思い出した模様。


飼い主はこのように、独り言がとても多く、自分で言った事に対してもなぜか自身で大笑いをしてしまう癖がある。飼い主は大いに楽しそうで何よりなのだが、悪口を言われた私はカチンときてしまった。


なので、いつも通りにあのカビ臭い風呂場へとそそくさと向かって歩いていくのだ。それをみた飼い主は、笑い転げてたのが一転、「ごめんなさいごめんなさい!」と、必死な顔で土下座までして謝りだした。


うむ。それならいいのだ。と、私は飼い主の頭にコツンと頭をぶつけて寄り添った。飼い主は、土下座をやめ、右手で頭を支えながら横になり、寛ぎ始めた。左手では私を撫で回している。何だか気持ちいいので、私は箱座りをして喉を鳴らしてみる。


少々心地よい沈黙があったが、沈黙を破ったのはやはり飼い主であった。

「何か、ここ痒そう」そう言って、飼い主は私の左耳の後ろをかきはじめる。ご名答!私は、そこがさっきからやたら痒かったのだ!気持ちいいので、尚更喉を鳴らす。しかし、飼い主が一言。


「ハゲるまで掻いたろ。ぶっ!」と、言ってまた笑い転げる。

なんにも面白くないはないぞ!なんと、この飼い主は笑いの沸点が低い事か! そうして、私は風呂場へとダッシュし、シャワーをしろ!と、鳴きわめいてやった。


そうだ。痒いのだから、シャンプーをしてもらいたいのだ。「あー!しまった!シャンプーはしたくない!」そう言って飼い主は再び布団に潜りこむ。


数秒して、布団をばさりと蹴飛ばし、立ち上がった。「今日は、何の試供品に致しましょうかねー。」と、飼い主が言う。


いやいや、いい加減猫用シャンプーを買って貰いたい。しかし、とにかく左耳の後ろが痒くて堪らないのでこの際、洗ってくれるならなんでもいいのだ。


しかし、飼い主は洗うのが上手であるのだから、トリマーになるべきではないかと皆さんお思いか?私は、そうとは思わない。やはり、文学賞を獲る程の物書きになって貰いたいのだ。私は誰よりもこいつの味方であるし、ファンである。


だが、今はシャンプーが楽しみで仕方がなく胸が踊るのでこの気持ちはそこらに捨て置いておこうかな。いずれ飼い主がひょいとつまみ食うだろう。

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