表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

第一話その1~下宿カーラ・ユニティ~


俺の名は南悠希みなみ ゆうき。高校二年生だ。


俺はこの微妙な時期に転校することになった。


…一人で。


理由は父親の転勤なのだが、仕事柄家にまったくいないので、家を借りる必要がないだろうとなった。母親は父親に付いていった。なんちゅう両親だ。


結果、俺は叔母がやっている下宿にお世話になることになった。



と、いうわけで俺はこれから住むことになる町に電車で向かっていた。


目指す町は雛森ひなもり町。どちらかというと田舎の部類になるだろう。窓の外には田畑がちらほら見える。


「~~~~♪」


急に情熱な大陸のテーマが鳴り響いた。まぁ、俺の携帯からだがな。


携帯を見ると叔母からだった。すぐに切る。


が、すぐにまた携帯が鳴った。仕方なく出る。すぐに元気な声が聞こえてきた。


「この超絶美しい私からの電話を無視するなんていい度胸じゃないの!」


やべぇ、切りてぇ。

が、そういうわけにもいかないので答えた。


「スイマセンデシター。」

「心こもってなくないっ!?」

「気のせいじゃね?」

「気のせいじゃないよ!完全に棒読みだったよ!」

「気のせいじゃね?」

「なんなのこの甥っ子!」

「天才じゃね?」

「絶対違うと思う!」


相変わらず元気な人だ。からかいがいがある。しかし、話が進まないので用件を聞いた。


「で、何の用?」

「…なんかもういいや。ええと、あとどんくらいで着きそう?」


ちょっと携帯の時計を見る。あとニ十分てとこか。


「あとニ十分くらいかな」

「了解。迎えよこすからねー」

「あいよ」


そう答えたあと電話を切った。窓の外を見ると日が沈んでいた。田舎の夕焼けの空はなんかきれいに 見えた。




しばらくして、雛森駅についた。どうやら無人駅のようだった。重い荷物をもって電車を降りた俺を出迎えたのは、真っ暗な駅の中に光る自動販売機だった。


なんとなくあたりをキョロキョロ見渡したのだが、何にもなかった。


俺はここで重大なことに気付いた。


…迎えいなくね?


呆然としていてもしょうがないので、叔母に電話した。


すぐに叔母は出た。


「はいこちら超絶美しい叔母だよー!」


切った。


どうしようかと思っていると、突然爆音が鳴り響いた。


ブロォォォォン!


音のする方を見ると真っ赤なバイクにまたがった真っ黒なバイクスーツを着た女性が止まるとこだった。女性だとわかったのはヘルメットをつけていなかったからだ。いいのか!?


驚愕した俺にその女性は近づいてきた。


近くで見ると自分と同じくらいの年齢の女子だということがわかった。きれいな茶髪を肩口くらいまでのばしていて、耳に光る水色のピアスが目を引く。


そのピアス女子は口を開いた。


「あんたが南悠希か?」

「そ、そうだけど…」


きれいな声に似合わないぶっきらぼうな口調に思わず言葉に詰まってしまった。


「私は神林咲かんばやし さき。あんたの叔母さんの下宿に世話になってる。あんたを迎えにきた」


神林咲と名のった女の子はそう言うとバイクの座席を指差すと、


「乗りな」


と促した。


「俺のためにありがとう神林さん」


俺がお礼を言うと、神林さんはバイクにまたがりながら


「タメだから咲でいい。私も悠希と呼ぶ」


と、神林…じゃなかった咲は少し笑いながら言った。




十分程田舎道を駆け抜けると、まわりの景色は町らしくなってきた。


また五分程走ったところに叔母さんの下宿はあった。


ちょっとしたアパートくらいの大きさだろうか。二階もあるみたいだ。玄関先の看板にはカーラ・ユニティと書いてあった。


咲はバイクを玄関のわきに止めると、玄関のドアを開けて俺を奥の方へ案内した。


どうやら食堂に行くらしい。


ここで説明をすると、ここの下宿は部屋は一人部屋で、ご飯は一階にある食堂で食べることになるらしい。


食堂に入ると、花柄のエプロンを着けた見た目は二十代後半くらいの女性が立っていた。まぁ、俺の叔母だが。実際は四十三才。


「何で電話無視するのよー!」


開口一番叔母はそう叫ぶと、俺にボディブローを叩き込んできた。


「ぐはぁっ!」


俺はその重い一撃にガチで叔母に殺意を抱いた。まぁ、嘘だが。


「咲ちゃんありがとうねー」

「大丈夫ですよ。このくらい」


咲と叔母は俺がのたうち回っているうちに和やかに会話してやがった。


「じゃ、私はこれで」


咲はそう言うと、食堂から出ていった。


ようやくボディブローのダメージから復活した俺に叔母は驚愕の一言を言いはなった。


「言い忘れてたけどここ女子高生専用下宿だから」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!?」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ