1話
ドンドンドン… ドアを叩き続ける鈍い音…。 鳴り響く電話…。 毎日続く悪夢の日々…。 どうして、こんな事になったのか分からない…。 「どうして?何で、こんなめに合わなくっちゃいけないのよ〜!!」
私が、こんなめに会う事になったのは、今から1年前にまで、さかのぼる。
私は、3年付き合い結婚まで考えてた人との将来が考えられなくなり、別れを告げた…。彼は、いつも優しく、私が何をしても、怒ったりしなかった。
喧嘩だってした事がない…。
不満だった…。
本当の彼が分からないのに、私だけが、全てを見透かされてる…そんな感じが嫌だった…。
別れを告げた時も彼は、優しく笑って『分かった。』と言った。
理由は、聞かれなかったけど、そこまでアッサリ別れれるんだから、そんなに私の事を思ってないんだと思ってた。
彼と別れてから、1ヶ月がたった頃には、私にも、付き合ってもいいかな?と思える人がいた。
前の彼を思い出す事も少なくなり始めていた頃…無言電話が、かかってくるようになり、郵便物は、私が読む前に開封されていた…。
悪質な嫌がらせだと思い、何度も、警察に相談し、巡回してもらえる事になって、郵便物は、開封される事はなくなった。
無言電話は、たまにあるだけで、もう気にとめなくなった頃、新しい彼ができた。惹かれあっていただけに、肉体関係になるまで時間がかからなかった。その日、部屋に戻ったと同時に、電話が鳴った…。 「はい、どなたですか?」
「……。」
無言だったので受話器を置こうとした時、受話器の向こうで何かが聞こえた。
もう一度、耳に受話器をあて
「もしもし?」
と言ってみたが、返事がなかった…。
しばらく、そのままでいると、かすかに、受話器の向こうで、叫び声が聞こえた…。「君に近づく害虫は、今、始末してあげたよ。」
クスクスと嬉しそうに、楽しげに笑う受話器の向こうの男の言葉に全身の血が、ひいた…。
まさか…新(今の彼)が!?
何かあったのではないかと思い。
携帯を急いで、鳴らしてみる。
『お願い出て!』心の中で、そう願いながら、出るのを待つ。
トルルルル…。
「もしもし。」
私は、思わず携帯を床に落とした…。
明らかに、新ではない事が、すぐに分かったからだ。トルルルル…。
新の携帯からだ。だけど、間違いなく、新じゃない。分かっていながらも、恐る恐る携帯を耳にあてた。
新の安否が気になって出てしまった。