星遊び/たたり/鼻/龍
〈星遊び〉
近所の猫たちが、星で遊んでいる。夜空に一瞬手を伸ばし、爪で星を掻き取るのだ。地面に落とした星は、しばらく転がしてかまうだけで、もう放置してしまう。そのくせわたしが拾おうとすると駆け寄ってきて、ダメッというふうに鳴く。わたしが一度捨てた恋をまた拾おうとしても、そうやって止めてくれるかい。
〈たたり〉
近所の坂に小さな祠がある。そのなかで白猫が眠っていた。きれいな寝顔、見とれてしまう。やがて目をあけ、わたしに気づき、あわてて走り去った。悪いことしたなと思ったら、その夜から祟られた。眠るわたしの顔を白い影がぺろぺろなめる。ぺろぺろ、ぺろぺろ、これが毎晩……。結果、顔からすっかり疲れが消え、仕事も好調すぎて怖い。
〈鼻〉
ぼくが眠っているとときどき飼猫がやってきて、ぼくの鼻からもぐりこむ。耳から顔を出したり、目玉をどかして飛び出たりして遊ぶ。ねえ、ぼくの頭のなかって、どうなっているんだい、と昼間に飼猫にきくと、普通の猫のふりをして、すぐに居眠りをはじめやがる。その小さな鼻からもぐりこんでやろうか。
〈龍〉
眠るとときおり見る――心の空で龍の姿を。白い躯を波打たせ、巡るように遠くを飛んでいる。田舎者のわたしとは違う、歌のような優美さ。なぜかわたしの方を気にする様子。声をかけたい。叫びたい。でも口から音ひとつさえ出ない。父が龍に気づいたら、きっと悲しむ気がするから。このままずっと、ひとりで眺めていよう……。父も、母についてなにも言わないのだ。それがわたしのためらしい。
ノベルアッププラスからの転載。




