第八話 ツンデレ剣士、嫉妬する
「ふふ……これで私の婚約者候補は“白き悪魔”に決まりね!」
王女は嬉しそうに悠真の腕に絡みつく。
「ちょ、ちょっと王女様!? 俺まだ心の準備が――」
(ていうか、俺ただの大学生なんだけど!?)
そんな二人を、少し離れた場所からじっと見つめる影。
セリナだ。
「…………」
(あれ? なんかセリナの目が怖い……)
ギルドにて
後日。王城での騒動のあと、悠真とセリナは再びギルドへ。
しかしセリナは口数が少ない。
「な、なぁセリナ。なんか機嫌悪い?」
「別に」
「いや絶対“別に”じゃないやつだよな!?」
スマホをポチポチ。
「ChatGPT、ツンデレが不機嫌なときの対処法は?」
【推奨行動:①頭を撫でる ②一緒にご飯を食べる ③“お前が一番だよ”と耳打ち】
(③はラブコメ最終回レベルだから無理!!)
頭ポン事件
思い切って悠真はセリナの頭をポンと撫でた。
「な、なにするのよ!?」
「い、いや、なんか元気出るかなって」
「……べ、別に、悪くないけど」
(あ、照れた!? これツンデレのお約束!?)
料理で仲直り
「よし、じゃあ飯でも食べに行こうぜ。俺の奢り」
「……仕方ないわね。ついていってあげる」
居酒屋で一緒にシチューを食べる二人。
少し頬を赤くしたセリナが、ポツリと呟いた。
「……王女様の婚約者になるなら、私は……どうすればいいの?」
「えっ……」
スマホがブルブル震える。
【回答例:“俺のパーティーの相棒はお前だけだ”】
「……俺のパーティーの相棒は、お前だけだから」
セリナは一瞬ぽかんとした後、顔を真っ赤にしてスプーンを落とした。
「~~っ! べ、別に嬉しくなんかないんだから!!」
(いやどう見ても嬉しがってる!)
次回――
嫉妬の火花が散る中、隣国の王子が登場!?
「白き悪魔VS王子様」の勘違い対決が始まる!