第五話 盗賊団VS塩の勇者
セリナと組んで最初の依頼――
それは近隣の街道を荒らす盗賊団の討伐だった。
「数は三十、武器も揃っているわ。正面からぶつかるのは危険よ」
「いや、俺まだFランクだからね!? バトル経験ゼロだからね!?」
「でもあなたには“古代の秘宝”があるのでしょう?」
「……やめて、そういう期待の目」
仕方なく悠真はスマホを取り出す。
「ChatGPT、盗賊団を効率よく倒す方法は?」
【彼らは洞窟に拠点を構えています。夜間に塩を大量に投げ込み、湿気で結界をショートさせると、罠も崩壊し一気に混乱します】
「……お前、なんでそんな盗賊団の詳細知ってんの!?」
夜。盗賊団アジト前
セリナ「本当に塩を投げ込むだけでいいの?」
悠真「たぶん……(俺も信じてない)」
ドバドバドバッ!!
袋いっぱいの塩を洞窟にぶちまけた瞬間――
中からバチバチッ! という音とともに、眩い光。
「ぎゃあああ! 結界が壊れたぞ!」
「床の魔法陣も作動しねぇ!」
「しょ、塩の勇者だぁぁぁ!!」
盗賊団がパニックになり、洞窟から飛び出してきた。
塩戦法・第二段階
悠真「ChatGPT、次は?」
【盗賊の靴に塩を撒くと、革が硬化して動きにくくなります】
悠真「まじで!?」
ザッザッザッ!!
「足が……重い!? 動けねぇ!」
「なんだこの白い粉は!?」
「コカインじゃねぇぞぉぉ!!」
完全に足を取られた盗賊団は、セリナに一人ずつ斬り伏せられていった。
戦いのあと
セリナ「……すごい。本当に塩だけで盗賊団を壊滅させるなんて」
悠真「いや俺もびっくりなんだけど!? なんで塩万能なんだよ!」
そこへ生き残りの盗賊が震えながら叫ぶ。
「ひ、ひぃっ! 奴は“白き悪魔”だぁぁ!!」
翌日――ギルドの掲示板にはこう貼り出されていた。
【新たな二つ名:“白き悪魔”】
「もうやだぁぁぁぁ!!」