第三十七話 市民たちの声
王都の広場。
魔王軍が去った後、人々は安堵よりも混乱に包まれていた。
塩依存の崩壊
市民A「……俺の塩が、効かなくなってきた……」
市民B「うちのパン屋もだ! 塩を入れても、もう味がしない!」
市民C「くそっ、もう塩無しじゃ生きられないのに……!」
人々は震え、塩をかき集め、互いに奪い合う。
カレー中毒者たち
別の路地では、カレーに取り憑かれた者たちが集まっていた。
男「なあ……香りがしない……」
女「スパイスが効かないのよ……!」
子供「お父ちゃんのカレー……ただの茶色いスープだぁ……」
泣き叫ぶ子供を前に、両親は地面に膝をつく。
社会風刺的な会話
老人「結局、人間は調味料に踊らされておったのだ。
塩に、砂糖に、カレーに……。
“うまい”と感じることに依存して、心を失っておった」
若者「そんなこと言ったって……“味”がなきゃ、生きてる意味がねえ!」
老人「ならば問おう……“味”とは何だ?
舌が感じる刺激か? 心が求める慰めか? それとも――ただの幻想か?」
その問いに、誰も答えられなかった。
市民の不安
王都全体に流れるのは、“味が消える”という目に見えぬ恐怖。
暴動、塩市場の崩壊、飲食店の閉店ラッシュ……。
王都新聞の号外が貼り出される。
【見出し】
“調味料恐慌、ついに極限へ! 市民生活は崩壊寸前”
一方で……
酒場の隅では、酔っ払いが言った。
酔っ払い「だがよォ……味が消えたって、笑うことはできるんじゃねぇのか?
嫁の飯がマズくても、笑って食ってりゃ幸せだっただろ?」
周囲は静まり返る。
だが――その言葉は、どこか温かさを含んでいた。
こうして、人々の心の中でも「味とは何か」が揺らぎ始めるのだった。




