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プロローグ
二十歳の大学生・**斎藤 悠真**は、どこにでもいる平凡な男だった。
将来の夢もなく、バイトとゲームに追われる毎日。
唯一の楽しみは、新しくリリースされた生成AI「ChatGPT-Ω(オメガ)」をいじることだった。
ある晩、深夜三時。
悠真はふとした思いつきで、画面にこう入力した。
「もし俺を異世界に転移させるなら、最強のスキルをください」
次の瞬間、部屋が白い光に包まれる。
気づけばそこは剣と魔法のファンタジー世界。
悠真の手の中には、一冊の黒い本のようなものが握られていた。
それは「ChatGPT-Ω」そのものだった。
「な、なんだこれ……まさか、俺のスマホごと来たのか?」
画面には見慣れたチャット欄。
悠真が試しに呟いた。
「火を出す方法を教えて」
【はい。最も効率の良い火起こし方法は――】
画面に表示された手順を実行すると、乾いた草が一瞬で燃え上がった。
悠真は震えながら笑った。
「やばい……これ、攻略本どころじゃねぇ。
俺、異世界でChatGPTと無双できるじゃん!」