魔法少女3
どうも俺である。
時刻は現在15時30分、情報提供者である瑠華嬢は普通に小学校に遅れてはいけないと言い帰宅してしまった。というかそもそも早朝のランニング中にたまたま俺と遭遇したとのことで、ある程度話をしたらランニングに戻っていった。
きちんと連絡先は交換したのでこれからいつでも疑問は聞くことができる。いやぁ瑠華嬢マジで神だわ、悩みの半分くらいが消えたぞ。情報取集が捗る捗る。
ちらりとスマホを見てみると瑠華嬢から教えてもらった情報が目に入った。
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うちの彼女は山本元〇斎重〇の生まれ変わりの可能性大
魔法少女は基本的に時間の流れが止まった次元の狭間と呼ばれるところで戦う
境界の獣は敵、なぜ敵として襲ってくるのかは謎
境界の獣が境界と呼ばれる自身の世界から出てきて俺たちの世界に侵攻を始めるとぬい達が教えてくれる
朱音が戦う境界の獣についてはわからない
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うーん、なるほどなぁちなみにだが次元の狭間と呼ばれる場所は境界の獣が現れた場合魔力持ちであればいつでも入れるらしい、ので朱音が戦い始めたら俺は普通に参戦できるということだ。よかったよかった。一つ不安はこれで消えたがいまだ敵の詳細が分からない、最強である朱音とその仲間たちでさえ負ける確率が高いのだ、バカみたいな能力を持っていることはわかるが詳しくわからないと対処の使用がないんだよねぇ…
とりあえずこの体に慣れたし、瑠璃嬢が言うには俺の魔力量は中堅どころの魔法少女と同じくらいとのことなのでそれなりに戦えるそうであるが、魔力の回し方と使い方が下手だから弱い敵にすら瞬殺されるかもしれないとも言われてしまった。
これに関しては一応夕方の5時から瑠璃嬢に鍛えてもらう約束をしているので気にしていない、それなりには強くなれると思う、なれるよね?
とそんなことを考えつつ俺は顔を上げる
「朱音はいねぇよな…さすがに…」
そう、自宅に帰ってきたのである。
ここで一つ俺の家族についての話をしよう、といってもすぐに終わる説明である。うちの両親離婚してそれぞれ別の人と再婚した。
はい、これである。察しのいい人は理解できたと思うがどちらについていても居心地がくそである。ので俺は母、父から毎月お金をもらい一人暮らしをしているのだ。
家賃3万5千!6畳一間!バストイレは一緒!
想像の通りボロボロです。だがまぁ住めば都というものだ。入居したての時は拒否反応があったが今はもうない俺の城である。
がここで問題が一つ俺の部屋には朱音が何度か来たことがあるのだ。たまーーーに料理を作りに来るだけきて「栄養は取らないと燃やすよぉ?」と言って帰るだけではあるが…とまぁそういうことがあるので朱音には合鍵を渡してある。
うんわかる、わかるよぉ、なんでそんな危険地帯に帰ってきたんだよお前見つかったら即アウトだぞ?という声はよく聞こえるよ!ただねぇ!問題があるんだよ!
おれもうおかねないの…
財布に入っていたお金はコ〇ドームを買ったせいで500円ほどしか残っておらずキャッシュカードたちは持ち歩くのが怖いので部屋に厳重に隠してあるせいで現在お金を引き出すことができない、つまり一時帰宅するしかなかったのである。
一応友達に朱音はいま学校にいる?というメッセージを飛ばし学校にいるという確認をしているので問題はない、というわけで
「たでぇまぁー」
「はい、お帰り~」
「お、朱音来てたん…」
すぐに扉を閉めて全力でダッシュした。「ーーにがさないよ?」
首根っこを掴まれた。ので腕を上に伸ばし一気にしゃがみこんで勢いで服を脱ぎ拘束から抜けだす。そこから全力でジャンプする。
「んぎぃ!」
屋根に着地しさらにジャンプする。動画で見たことがあるパルクールの要領で建物から建物に移動する。自分の体じゃないみたいな力強い動きをする体にものすごい違和感を覚えるが、前日のアスレチックで死ぬほど練習した成果なのかとてもスムーズに駆けることができる。とんでもない速度で移動しているので景色の移り変わりがすごい、魔力で眼も強化してないと次に飛び移る場所を見ることができずにぶつかってるレベルだ
これなら逃げられるだろうと後ろを向くと朱音はもういなかった。ふぅー焦ったぁ
「撒いたか?」
「残念、撒けてないよ」
気が付いたら朱音に後ろから抱きしめられていた。
えぇ…うちの彼女すげぇ…
「どうやって追いついたの?足音すらなかったけど」
「えー、普通に追いついただけだよ?後足音は消してた」
「こっわ…」
「それ、彼女に言うセリフ?」
くっそ、逃げれる気がしない、普段なら朱音に抱き着かれた!?うれしい!最高!生きててよかった!おっぱいがないけど最高だ!となる状況だが、現状では全くうれしくない、俺はまだ記憶を失うわけにはいかない、何とかして逃げないと、だが拘束から逃げれる気がしない、膂力の差がやばすぎる、なんかゴリラにでも抱きしめられてる感覚だ。
「逃がしてくれたら助かるなぁ」
「んー、絶対にやだ」
「朱雀さん頼むよ」
「んぎ!?」
おっ、乙女から出てはいけない言葉が出たぞ
「なんで優君がその名前を知ってるの!?」
「頑張った」
「…絶対に記憶消す、あと教えたやつ燃やす」
わっはーーうちの彼女こええええ、ごめん瑠璃嬢!君燃やされるってさ!すまんな!お詫びはいいところのケーキでいいかな?_
「ていうかこんな外で話すことでもないし私の家に行こうか」
「やだ」
「だめ」
だめでした
というわけで朱音の家まで連れていかれた。それと前回みたいに窓を割って脱出とかできないように家全体に朱音の魔力を回して強化されているのがなんとなくわかる。さっき軽く窓をコツンと叩いてみたら鉄みたいな感触がしたのでホントにやばい
「ほー、やっぱり私から優君に魔力が回ってるからなのか私の魔力には敏感なんだね」
あーそういう理由なのか、瑠璃嬢の魔力とか感じた覚えがないのに朱音だけ感知できた理由が理解できた。のだがここで一つ腑に落ちないことがある
「朱音さ、俺がドアを開けた瞬間に部屋に来たよね?」
そう、俺がドアを開けるまで朱音の魔力はかけらもなかった。開けた瞬間に朱音の魔力が現れたのである。
「わぁ、鋭い…正解だよー私の仲間に優君の家にトラップを置いてもらってね、帰ってきた瞬間というか優君がドアを開けた時に私が転移できるように設定してもらってたんだ」
「えぇ…ワープ使いもいるのかよ」
「いるよ、強い仲間だよ」
「そんな仲間と朱雀さんがいて負けるのか…」
「次朱雀って言ったら記憶消す前に燃やすよぉ?」
「すいませんでした!終局 朱天ノ斧はやめてください!!」
「なんでそんなことまで知ってるのかなっ!?」
うあーはずいよぉ、とベッドをごろごろしている朱音を横目に俺は脱出の方法を考える。窓は無理、壁壊すのも無理、となるとこの家に入るときに普通に朱音が開けていた玄関か?いや閉めるときに朱音がぼそりと「焔ノ扉」とか言っていたので出た瞬間燃えるとかありそうである。
「彼氏ちゃん、やめといた方がいいヨン、朱音ちゃん本気で結界を敷いてるから出れるわけないヨン」
「あ、いたのぬいぐるみさん」
「いたヨン!ずっといたヨン!君と朱音ちゃんが鬼ごっこをしてる時もいたヨン!?」
え、嘘マジで気づかなかった。
「まぁヨンのことは置いといて優君今回ばかりはゲームオーバーだよ、出す気ないよ」
「そこを何とか」
「なるわけないねぇ」
ですよねぇ、なら奥の手といこう、まさか初の試みが敵じゃなくて愛しの彼女になるとは思わなかったけどね…
「じゃあさ、俺の最後の質問に答えてくれない?魔法少女について調べてたらいろいろ気になることがあってさ」
「んー何か企んでるみたいだからダメかな?」
さすが俺の彼女隙が無いぜ…
「いや、もうここから企んでも無意味だろ…」
「それもそうだけどねぇ、優君だし、絶対に優君はあきらめないじゃん」
「いや、あの普通に質問したいだけなんですが…」
「朱音ちゃん…さすがに警戒しすぎヨン…」
「えぇー、そうかなぁ…んーーーでもなぁーうん、ならまぁいいよ、ただしみっつだけね」
充分だ
「おっけー、ありがと朱音じゃあ一つ目、朱音が戦おうとしてる敵の能力を教えてほしい、知れば知るほど朱音がなんで負けるかわからなかったからさ」
「あー、それは確かに気になるか…んー少し難しいんだけど魔力の強奪?かな?」
「ほう詳しく」
「おっけー、じゃあ詳しく言うとそこにあいつがいるだけで空気中の魔力が吸い取られるのはもちろん私たちの力も吸い取られる。まぁ要するに私たちが強ければ強いほどあいつも強化される。魔力をそのまま取られるせいで私たちの魔法も使えるようになってるからね。しかも無限に吸収してくる&吸収速度が速すぎるせいで私たちの魔力がすぐに枯渇するんだよねぇ、私魔力量はすんごいだけど前回は3分で全部吸い取られちゃったし、枯渇した瞬間すぐに緊急用のワープで逃げたけど」
「なら短期決戦ならワンチャン…」
「それがないんだよねぇ、あいつ強奪した力をそのまま持ち続けるから勝ち目がないに等しいんだよ、要するに強化された状態のままなわけ、私の奥の手が初手で当たれば倒せるけど」
倒せるんだ…
「なるほど、わかったありがとう、そりゃ負けるわ…」
「うん、ほんとにきっついよ、じゃあほかに質問は?」
「仲間の人数と能力について」
「黙秘しまーす。ワープ使いの子は彼氏君にも言っていいよって言ってくれてたから伝えたけどそれ以外の子には許可とってないもん、マナー違反だよ?」
「ほーそういうマナーがあるのか、じゃあ人数は?」
「えっと、それならいいよ。私合わせて4人かな」
「ほう、なるほど」
ワープ使いさん以外の魔法に関してはあとで瑠璃嬢に確認してみよう。瑠璃嬢まだ魔法少女歴半年だからそういうマナーとか知らない可能性とかあるし。普通に朱音の魔法の詳細も教えてくれたからな!
「じゃ、最後の質問どーぞ」
「えーと、呪いについてかな、朱音言ってたよね逃げられない呪いをかけられたって」
そう一番気になっていたことである。呪いに関してはそんな能力知らないと言ってたし詳しくわからなかったんだよね
「おぉ、よく覚えてね、でも黙秘だよ残念だね!」
ふーん、黙秘ねてことはあれかな、仲間の魔法少女の魔法関係かな?魔力取られて境界の獣に呪い使いの魔法少女の力を使われたとかかな?
それともほんとに黙秘したいことがあるか、だけどうーんわかんないな
「ねぇ、朱音さんや」
「ん?なんだい優さんや?」
「質問の半分くらいが黙秘されたので追加の質問を要求したいのですが」
「…しょうがないからあといっこだけ許可します」
「ありがと愛してる」
「うん私も」
おっとカウンターを食らったぜ、やるようになったなこのカワイ子ちゃんめ!おいコラそこの鳥ぬいぐるみ野郎、その砂糖を吐くような仕草はなんだ、蹴るぞ
「じゃあ最後の質問はーーー」
「質問は?」
そこで俺はちらりと朱音の部屋にある壁掛け時計を見る
16時56分か
「ーー今はいてるパンツの色は??」
「は?」
おっと一気に般若みたいな顔になったぜ、こっわ
「いやだから今はいてるパンツの色だって」
「んー?あのね優君、今結構シリアスな会話してなかった?確かに優君も男の子だし気になるのはわかるけど絶対今じゃないよねぇ?」
16時58分
「いーーや、今しかないね!!俺はまだ朱音とS〇Xすらしてないんだぞ!なのに記憶を消されるんだぞ!それくらいいい思いしてもいいだろ!」
「うわっ!?待って!うそでしょ!こんな場面でそんなに性欲ストレートになることある!?優君への愛がゴリゴリなくなっていくのを感じるよ!?」
16時59分
「うるせぇ!いいだろパンツの色くらい!」
「よくないよ!?乙女のパンツをなんだと思ってるのさ!」
あと30秒
「いいから教えてよ…うっううぅ…」
「うそでしょ!?泣き始めたんだけど!?そんなに知りたかったの!?ごめんね!?薄い青です!!これでいい!?」
普段おっとりしてる朱音が顔をすんごく真っ赤にさせてそう叫ぶ。そこは赤じゃないんだ…
後5秒
「ふーーーん、えっちじゃん」
0秒
ビュン!!という音と魔法陣が見えた瞬間俺は朱音の部屋から、今日の朝瑠華嬢と出会った公園のベンチ前に召喚されていた。
目の前を見ると瑠華嬢がどや顔している。
「成功したようだな、緊急召喚お助けチケットは」
「うん、そうみたいっすね、魔法少女以外にも使えるとわかったのはかなり大きいよ」
はい、ここで察しのいい人は理解しただろう。俺と瑠璃嬢はある実験を行っていた。それは新米魔法少女のみが利用できる緊急召喚お助けチケットを俺にも使えるかという実験だ。
このチケットはまだ力が育ち切っていない魔法少女のために一日一回使える強制的に知り合いの魔法少女の助っ人を呼べるチケットなのだがその機能が俺にも適応されるのか今日の17時に試す約束だったのである!!
そう!!
17時に!!
本来は俺の家からの召喚という予定であったはずだがまぁ結果オーライである!!マジでセーフだ!助かったぁ!今頃朱音は顔真っ赤のまま固まってるんだろうなぁ…ぷーくすくす
「では、修練を始めようか優殿」
「おう!先生!よろしく頼んます!」
さぁ!俺たちの冒険はこれからだ!!
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「ーーーーー燃やす」
「あつつつつつ!!!!熱いヨン!朱音ちゃん!?落ち着くヨン!?あっ!変身しちゃだめヨン!?家が燃えるヨン!?あっっづ!?」