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魔法少女1

唐突なカミングアウトから数分ようやく落ち着きを取り戻してきた俺はすーはーすーはーと深呼吸をしていた。落ち着けー俺頭を動かせー


「優君落ち着いた?」


「え、あ…うん」


正直いまだに脳が理解を拒んではいるが朱音がもうすでに変身してるし、ぬいぐるみもしゃべってるし、ということで一応信じた、何とかほんとにマジでかろうじて信じた。ので俺は朱音の問いかけにこくりとうなづいた。


いやはや、まさかうちの彼女が魔法少女だったとは、いやまか確かにケガした状態で学校に来ること多いなぁとは思うことはあったし、キャラの立ち方すごいなぁと思ってはいたけどまさかの魔法少女とは思わなかったぜ…朱音は絶対赤担当だな、名前からしてそうだし、普段来ている服も赤系統が多いし、持ち物も赤が多いし、学校の制服のリボンも赤だ…


「いちおう、私は魔法少女歴5年なんだ!ここまで活動して死んでないのはすごいんだよ!」


「チャットマテ、死ぬとかあるの!?」


え、うそそんなシリアスな世界の魔法少女なの?女児アニメの定番のほうじゃなくて深夜帯のほうなの!?まどかなまぎかなの!?美少女が力を合わせて何とかかんとかして悪の組織から世界を守る話じゃないの!?僕の世界をすくってほしいの!!とかじゃないの!?


「あるねぇ、まぁそれが私が魔法少女だってカミングアウトしたのに関係あるんだけど」


朱音は、彼女は少しきまづそうな顔でそう言葉を区切った。おい、待って待ってくれ今いろいろ最悪な流れが見えてるんだけど、待ってくれ


「ーーもしかしたら私5日後の戦いで死ぬかもしれないから優君とお別れしとこうと思ってさ」


彼女は今までにないくらい見たことない真剣な顔でそう言った。一年も付き合ってきたんだこの言葉が冗談かそうじゃないかくらい俺にもわかる。彼女は本気だ、本気で死ぬかもしれないと思っている。


「…その戦いに行かずに逃げるとか「むりだねぇー、逃げられない呪いをかけられちゃった。逃げたらこの町が地図から消えちゃうねぇ」…」


その規模の敵が相手なのかよ魔法少女の敵って今時そんな奴なの?


「勝てる確率は?よくわからないけど朱音は5年も活動できたのなら勝機くらいーー」


「んー、仲間と協力しても3割?いやそれ以下かも」


彼女は気楽に朗らかにたははまいっちゃうねぇーと言いながら笑っていた。死ぬかもしれない戦いの話をしながら笑っていた。いつものことだという様子で、なれたもんだよといった雰囲気で


「朱音今までも死にかけたことはあるの?」


「うん、たっくさん」


「境界の獣は強いからヨン、仕方ないヨン」


「ねぇ~強すぎだよね~」


たは~と笑いながら彼女はよくわからんぬいぐるみと笑いあう、俺は、俺は、最愛の彼女が死にかけの戦いをしていたことにも気づかずにのほほんと日常を過ごしてたのか?

は、はははダメだ泣くな、ここで俺が泣くのは違うだろ、我慢しろ、ほんとに泣きたいのは朱音のはずだ。いつもの笑顔からは恐怖とかの感情は伝わってこないけど、人として死ぬかもしれない戦いに行くのは怖いはずだ。ただそんな状態の彼女に気づいてすらおらず、彼女の支えにすらなれなかった俺が泣くわけにはいかない、彼女の一大事に気づけなかったとかいうダサすぎる理由で泣くわけにはいかない


「あー今優君が何を考えているのかはわかるけど魔法少女になったのはうーんまぁ自分の意思だし、覚悟はちゃんとあるから恐怖はあんまりないよ」


あっ、今嘘ついた、嘘をつくときの朱音の癖が出た。そっか怖いんだ、うんわかった。


「朱音のパパさんママさんは知ってるの?」


「言ってないよ、ていうか言えないよ~」


続けて彼女はいつものように明るく言葉を続ける


「伝えたのは魔法少女仲間以外では優君が初めてだもん」


「もともとさ、中学生からこの活動?を始めたんだけど先輩から、あ魔法少女の先輩からね、パパママに伝えようとしても無駄だって、なんか肉親には魔法的プロテクトがかかって伝えられなくなるらしいんだ~だから伝えようともしてないよ。なんか一昔前に魔法少女の子が親に相談したせいで魔法少女活動を続けられなくなって大惨事が起きたせいでそうなったんだって」



「ただまぁ伝えられなくても、問題ないんだ。もし私が死んでもこの世界から、いなかったものとして扱われてパパママの子供はいなかった。存在しなかったっていう感じに世界から修正されるから私が死んでもあんまり問題はないしね~ただ魔法少女の仲間の記憶には残るけどね、魔力を持っていない一般人の記憶からは存在ごと消されるんだ」


「それもあってさ、高校では仲いいお友達とか、うんまぁ彼氏とか作るつもりがなかったんだけど…優君あきらめ悪いからさぁ…まぁ付き合ってても死んだら存在ごとなかったことになるだけだからいいかなぁと思って受け入れたんだ。ここまで熱烈に好きだあああ!って言われたのは初めてだったし…」


「でもね、あとから知ったの、魔法少女は恋をしたらダメだって、魔法少女は本気で恋をしてその人を愛してしまうとその人に無意識に魔力を送っちゃうみたいなの、要するに恋した相手が一般人じゃなくなるんだぁ、簡単な魔法なら使えるようになるしとっても強くなっちゃって…

魔法少女が死んでもその存在を…記憶を失わなくなる」


「うん、ここまで言うとわかっちゃうよね、優君。私さ、はじめは優君の押しの強さに負けて付き合い始めただけだったから優君のこと別に好きじゃなかったんだ。そう、好きじゃなかったはずだったんだけど…うん、まぁしかたないよ、せかいでいっっっっっちばん私のことを好きでいてくれるんだもん、そりゃ好きにもなるよ、私だって女の子だしねぇ、好きでいてくれる男の子のことは好きになっちゃうよね!だからねーーー優君は私が死んでも私のことを忘れないんだ」


彼女は笑いながら、たはは~まいっちゃうねぇと笑いながら泣いていた。


「もともとしんでもいいやぁ~と思って戦ってたのに急に怖くなったんだぁ、死んじゃったら優君に会えない、しかも周りのみんなの記憶からも私は消えるのに優君はおぼえたまんま、そんな状況を想像したらこの状態で死ぬことが怖くてできなくなったの」


「でも、ヨンがある方法を教えてくれたんだ。魔力を持った人間の記憶を消す方法があるって、ちょっと特別な儀式がいるんだけどね、もう準備は終わってるよすぐにでもできる」


「いやだね」


「たはー、言うと思った。でもね記憶は消すよ優君、じゃないと私安心して死ねないから」


俺はその言葉を聞いた瞬間体全体に力を入れ魔力でろ魔力でろここで出なきゃ死ね!!と強く念じながら朱音の部屋の窓を全力で蹴ってぱりーーーんと窓を割り、朱音の家から脱出した。着地するときにしっかりと昔柔道の授業で習った受け身を取って叫ぶ


「よっしゃああああ!!!朱音の話がマジなら行けると思ったんだ!確かに体が普通じゃなくなってる!二階の部屋から地面に着地しても全く痛くないぜ!」


そう言いながら全力で走り始めた。その際これまたとてもよくなった視力で朱音の部屋をちらりと見てみると、「ほぇ…?」と全力であほ面した朱音とあちゃーというポーズをしたヨンとかいう人形が見えた。相変わらずだな朱音えええ!あまりにも想定外のことが起こるとあほ面でフリーズする癖はよぉ!

あばよ!とっつぁん!じゃなくてかわいい魔法少女!


「残念だった朱音ぇえええ!!!俺は絶対お前を忘れん!!!あと殺させないからなああああ!!!愛してるううううううううううう!!!」


そう言って俺は朱音の家から逃げ出した。さて自分の家に帰ると朱音にばれるから今日から野宿だな!あとどうやって助けるかも考えないと!さぁ朱音の話がマジなら期限はあと少しだ!気張れよ俺!

















絶対にたすける


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