第91話「聖羅と幸大、見せつけるキス」
1. 遊園地の帰り際
楽しかったはずの一日が終わろうとしていた。
夕暮れの空が広がる遊園地の出口で、
4人は別れの挨拶を交わしていた。
「今日は楽しかったね!」
聖羅が明るく微笑む。
「また遊ぼう!」
「そうだな、次はどこ行く?」
潤が楽しそうに言う。
美陽も、無理にでも笑顔を作っていた。
(何も考えちゃダメ。楽しかった、それでいいんだ)
でも――
ふとした瞬間、美陽の視界に映ったものが、彼女の心を揺るがした。
2. 2人きりの瞬間
帰り道、
潤と美陽は少し先を歩いていた。
ふと、美陽はカバンの中のスマホを確認しようと、
立ち止まる。
「美陽?」
潤が振り返るが、
美陽の視線は別の場所に向いていた。
少し離れた場所。
そこには――
幸大と聖羅が、2人きりで並んで立っていた。
3. 聖羅の甘えた声
「ねえ、幸大くん」
聖羅が甘えるように、幸大の袖を引く。
「ん?」
「キスして?」
「……」
幸大は、一瞬だけ言葉に詰まった。
「ね? せっかくのデートの締めくくりだし」
聖羅は、
まるで”確信している”ような顔で微笑んだ。
(この人は、私のものだって、ちゃんと美陽ちゃんに分かってもらわないと)
4. 迷い、そして応じる唇
幸大は、少しだけ躊躇った。
しかし、
目の前で期待に満ちた瞳を向けている聖羅を見て、
拒む理由もなかった。
「……分かった」
そう言って、
幸大はゆっくりと聖羅の唇に触れた。
夕焼けの下、
長くはない、でも確かなキス。
まるで”恋人としての証明”をするかのように。
5. 美陽が目撃する光景
「……っ」
美陽は、
その瞬間をはっきりと目にしてしまった。
(……幸大が、聖羅と)
胸が痛い。
息が苦しい。
でも、
泣く理由なんてないはずだった。
だって、もう関係ない。
幸大は、今は聖羅のものなんだから。
6. 握られる手、潤の存在
「……美陽?」
潤が、
美陽の異変に気づいた。
「どうかした?」
「……ううん」
美陽は、ぎゅっと拳を握る。
(平気、平気だよ)
でも、
その震える手を見て、
潤はそっと美陽の手を握った。
「……寒い?」
「……うん」
「じゃあ、帰ろう」
潤は何も聞かなかった。
ただ、美陽の手を包むようにして、
彼女をそっと歩かせた。
7. 幸大の違和感
「ありがとう、幸大くん!」
キスを終えて、
聖羅は嬉しそうに微笑んだ。
幸大は、
ただ「……ああ」と短く返す。
しかし、
ふとした瞬間――
遠くで美陽と潤が並んで歩いている姿が見えた。
潤が美陽の手を握り、
彼女を気遣うように優しく寄り添っている。
(……あいつは、幸せそうにしてる)
それを見た瞬間、
幸大はなぜか”胸の奥が苦しくなる”感覚を覚えた。




