第89話「遊園地でのダブルデート」
1. 遊園地での再会
週末。
約束の日がやってきた。
美陽と潤は、遊園地の入り口で待ち合わせをしていた。
「美陽、楽しむ準備はできてるか?」
「……うん」
潤は楽しそうに笑っている。
美陽も、表面上は微笑みを浮かべていたが、
心の中は少し落ち着かなかった。
そこに――
「美陽ちゃん!」
聖羅の明るい声が聞こえた。
2. ぎこちない挨拶
「おはよう!」
聖羅が元気に挨拶する。
「……おはよう」
美陽も、できるだけ明るく返した。
その隣には――幸大がいた。
幸大は、特に何も言わずに、
ただ軽く会釈をしただけだった。
美陽も、「久しぶり」と笑顔を向けたが、
幸大はどこか視線を外していた。
(なんで……?)
少しだけ、胸が痛んだ。
3. 遊園地を巡る4人
「じゃあ、行こうぜ!」
潤が、場の空気を明るくするように言った。
最初に向かったのは、
絶叫系のジェットコースター。
「えええ、怖いかも!」
美陽がためらっていると、
潤が笑いながら言った。
「大丈夫だって! 俺が隣にいるし!」
「……うん」
そう言いながらも、
美陽の視線は無意識に幸大を追っていた。
幸大は、聖羅の隣で並んでいたが、
どこか乗り気でない様子だった。
4. 潤と美陽の笑顔
ジェットコースターがスタートすると、
美陽は思わず「きゃー!」と叫んだ。
隣の潤は、
「おいおい、大丈夫か?」と笑っている。
「もう、無理!」
「ほら、しっかり掴まれ!」
潤が、美陽の手を握る。
美陽は思わず笑ってしまった。
(潤といると、楽しい)
(……幸大のことなんて、考えちゃダメ)
自分にそう言い聞かせた。
5. 幸大の視線
一方、
幸大と聖羅も隣同士で乗っていたが、
幸大は終始無言だった。
「幸大くん、大丈夫だった?」
「……まあな」
聖羅は、少し不安げな表情を浮かべる。
「もっと楽しもうよ!」
「……ああ」
幸大の返事は曖昧だった。
なぜか、
無意識に美陽と潤の様子を目で追ってしまっていた。
潤が美陽の手を握っている姿。
美陽が潤に向かって笑っている姿。
(……俺には関係ない)
そう思いながらも、
心の奥が少しざわついた。
6. すれ違う気持ち
その後も、4人はアトラクションを巡った。
メリーゴーランド、ホラーハウス、観覧車。
潤は、
どんな時でも美陽をリードしてくれた。
幸大も、聖羅に優しく接していた。
それぞれの”恋人”として、きちんと振る舞っている。
なのに――
(どうして、こんなにぎこちないんだろう)
(どうして、胸の奥がざわつくんだろう)
美陽も、幸大も、
“それぞれの恋人”がいるはずなのに、
心が、どこか違う方向を向いていた。




