第87話「偶然の再会」
1. 忙しない日々の中で
大学4年生になった美陽と潤は、
就職活動で忙しい日々を送っていた。
エントリーシート、面接対策、インターン。
慣れないスーツを着て、
企業説明会を回る毎日。
そんな慌ただしい日々の中、
久しぶりのデートの時間を作ることができた。
「今日は思いっきりリフレッシュしよう!」
潤の言葉に、美陽は笑顔で頷いた。
「そうだね!」
2. 久しぶりのデート
ショッピングエリアを歩きながら、
洋服を見たり、雑貨を見たり。
久しぶりのデートは、
自然と会話が弾んだ。
「美陽、これ似合いそうじゃない?」
「えっ、可愛い!」
「買っちゃえば?」
「就活中だから節約しなきゃ……!」
「俺が買ってあげようか?」
「潤、それはダメ!」
「冗談だよ、ほら次行こう!」
美陽と潤は、
まるで”いつも通りの恋人”のように笑い合った。
3. 視線の先にいたのは――
カフェに入り、
2人は並んで座った。
美陽は、
クリームたっぷりのパンケーキを頬張る。
「うまっ!」
「すげぇいい食べっぷり」
「おいしいもん!」
潤がクスクス笑いながら、
美陽の口元についたクリームを拭こうとした、そのとき――
美陽の視線が、ある一点で止まった。
(え……?)
視線の先にいたのは――
幸大だった。
4. 交わる視線、止まる時間
幸大は、
カフェの入り口近くに座っていた。
そしてその隣には――聖羅がいた。
2人とも、
穏やかに話している。
まるで”幸せな恋人”のように見えた。
(……幸大)
一瞬だけ、幸大と美陽の目が合う。
互いに、言葉を失ったように静止する。
でも、その次の瞬間――
幸大は、何事もなかったかのように視線を逸らした。
5. 聖羅の気づき
幸大が視線を逸らしたことに、
聖羅は気づいていた。
(……?)
そして、幸大の目線の先を追うと、
そこには美陽と潤の姿があった。
(……美陽ちゃん?)
聖羅は、小さく微笑んだ。
そして、
まるで”自然な偶然の再会”のように、
明るい声をかけた。
「美陽ちゃん!」
6. 潤と聖羅の明るさ、幸大と美陽の沈黙
美陽は、驚いたように目を瞬かせる。
「……聖羅?」
潤も、すぐに気づいたようだった。
「おー! 幸大も一緒か! 偶然だな!」
聖羅が微笑みながら言う。
「こんなことあるんだね、すごい偶然!」
一方、
幸大と美陽は、ほとんど何も言わなかった。
「……久しぶり」
美陽が小さくそう言うと、
幸大は「……ああ」とだけ返す。
7. 聖羅の提案
ふと、聖羅が明るく言った。
「せっかくだし、4人で今度遊びに行かない?」
「え?」
「いいじゃん、ダブルデートってことで!」
潤はすぐに乗り気になる。
「いいね! どうせなら遊園地とか行く?」
「いいね!」
聖羅も、嬉しそうに頷いた。
幸大は、
少しの間、何も言わなかったが――
「……別に、いいけど」
と、ぼそっと呟く。
美陽は、潤の手前、
「そうだね」と笑顔で返した。
こうして、
“突然のダブルデート”が決まった。




