第79話「潤と幸大、対峙する」
1. 潤の挑発
「……久しぶりだな、幸大」
潤の声は穏やかだったが、
どこか底冷えするような響きを持っていた。
幸大は、静かに潤を見つめる。
「……ああ、久しぶり」
「驚いたよ。まさかお前が同窓会に来るとはな」
「別に、そんな珍しいことじゃないだろ」
「そうだな……でも、驚いたのはそこじゃない」
潤の視線が、
幸大の隣にいた聖羅へと向けられる。
「お前、聖羅と付き合ってるんだってな?」
「……それがどうした」
幸大の声が、僅かに硬くなる。
2. 「美陽のこと、まだ好きか?」
潤は、ふっと笑った。
「美陽のこと、まだ好きか?」
その問いかけに、
幸大の表情が微かに揺れる。
(……なんで、今そんなことを聞くんだ)
ほんの一瞬だけ、
美陽の姿が脳裏をよぎった。
「……なんでそんなことを聞く」
「気になっただけさ」
「……くだらない」
「そうか?」
潤は、ポケットに手を突っ込みながら、
一歩、幸大に近づいた。
3. 潤の余裕、幸大の沈黙
「お前が美陽を好きだったのは知ってる」
「……」
「でも、結局、あの時何も言わずに消えたよな?」
「……そういうことを話しに来たのか?」
「いや」
潤は、淡々とした口調で続ける。
「ただ、今さらお前が美陽の前に現れても、
もう遅いって話だ」
「……」
幸大は何も言わない。
「美陽は、お前を待ってたわけじゃない」
「……知ってる」
「じゃあ、黙っておけよ」
潤の言葉には、鋭い棘があった。
4. 美陽をめぐる二人の想い
「俺は、美陽を大切にしてる」
「……」
「お前みたいに中途半端な気持ちで、
“美陽の幸せを祈る”なんて、言葉だけで逃げたりしない」
「……」
「俺は、美陽を幸せにする」
幸大は、視線を落としたまま、
何も言わなかった。
(……俺には、もう関係ないことだ)
(美陽には、潤がいる)
(それでいい)
でも――
心の奥が、ざわつく。
5. 立ち去ろうとする幸大
「……もういいだろ」
幸大は、静かに言った。
「別に、俺は何もするつもりはない」
「ならいい」
「聖羅を大事にしろよ」
そう言い残した。
幸大はその場を去ろうとした。
しかし――
6. 幸大の最後の言葉
立ち去る前に、
幸大はふと立ち止まった。
「……お前こそ、本当に美陽を幸せにできるのか?」
潤の表情が、微かに強張る。
「……何が言いたい?」
「お前、美陽のこと、ちゃんと見てるか?」
「……」
「じゃあな」
そう言って、幸大は本当に背を向けた。
潤は、その後ろ姿を睨むように見送る。
7. 美陽の不安
美陽は、車の中から、
2人のやりとりを遠くに見ていた。
(何を話してたんだろう……)
(潤、なんだかいつもと違う……)
潤は、車に戻ると、
「待たせたな」とだけ言って、
何も説明しなかった。




