第76話「中学の同窓会、美陽と幸大の再会」
1. 大学3年生の美陽、穏やかな日々
美陽は、美術大学3年生になっていた。
日々の課題に追われながらも、
好きなことを学べる充実した毎日。
そして、
隣にはいつも潤がいた。
「美陽、最近調子どう?」
「うん、順調だよ」
潤は、いつも変わらない笑顔を向けてくれる。
彼と過ごす日常は、穏やかで心地よかった。
2. 同窓会の知らせ
ある日、
中学の同窓会の案内が届いた。
(同窓会か……)
懐かしい名前が並んだリストを眺めながら、
ふと、遠い記憶が蘇る。
(……幸大も、来るのかな)
一瞬だけ、そんなことを考えてしまう自分がいた。
「どうした?」
「ううん、同窓会の案内が来てて」
「行くの?」
「……ちょっと迷ってる」
潤は、笑って言った。
「楽しんできなよ」
「……いいの?」
「何が?」
「潤は、嫌じゃない?」
「美陽が行きたいなら、それでいいよ」
潤の言葉は、いつも優しかった。
3. 久しぶりの再会
同窓会当日、
美陽は久しぶりに懐かしい顔ぶれと再会した。
「美陽! 久しぶり!」
「梨沙子!」
「うわー、美陽全然変わってないね!」
「そっちこそ!」
次々と交わされる再会の言葉。
和やかな空気の中、美陽は少しずつ気持ちがほぐれていった。
「みんな、大学とか仕事とか、変わってるんだね」
「ほんとほんと! でもさ……」
「ん?」
「なんか、すごい人だかりできてない?」
4. 人だかりの中心にいたのは――
ふと、会場の端の方で
何人かのクラスメイトが集まってざわついているのが見えた。
「なんだろう?」
美陽が視線を向けると――
そこにいたのは、幸大だった。
(……幸大?)
数年ぶりに見る彼の姿は、
以前と変わらず、どこか落ち着いていて、
けれど、ほんの少し大人びた雰囲気を纏っていた。
しかし――
美陽の目は、
幸大の隣にいる人物に引き寄せられた。
聖羅。
5. 幸大の隣にいる聖羅
聖羅は、幸大の腕に軽く触れながら、
微笑んでいた。
「え、もしかして……?」
「付き合ってるらしいよ」
「めっちゃお似合いじゃない?」
クラスメイトたちの声が聞こえてくる。
(……そうなんだ)
幸大は、聖羅と付き合っていた。
美陽は、
心の奥がギュッと締めつけられる感覚を覚えた。
でも、そんな感情を誤魔化すように、
手元のグラスを軽く傾ける。
(別に……関係ない)
そう思おうとした。
6. 交わらない視線
幸大は、美陽に気づいているのだろうか。
彼の視線は、美陽の方へは向けられないまま、
ずっと聖羅と談笑していた。
(もう、私たちは何の関係もないんだ)
そんなこと、
とっくに分かっていたはずなのに。
「……美陽?」
「え?」
「ちょっと、顔色悪いよ?」
「……大丈夫」
梨沙子の心配そうな声に、
美陽は作り笑いを浮かべる。
(……こんなことで、動揺するなんて、バカみたい)
(私には、潤がいるのに)
でも――
どれだけ誤魔化しても、
心の奥のざわつきは消えてくれなかった。




