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15年目の愛  作者: みいな
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第65話 それでも、守りたいと思う心

1. 立ち去ったはずなのに、心に残る違和感


放課後の帰り道。


幸大は歩きながら、

先ほどの光景を頭の中で何度も思い出していた。


美陽の涙。


(……なんで、泣いてたんだ)


(潤がいるんだから、悲しいことなんてねぇだろ)


そう思うのに、

胸の奥がひどくざわつく。


(……俺は関係ねぇ)


(もう、俺が美陽の隣にいるわけじゃねぇんだから)


そう繰り返し、自分に言い聞かせた。


だけど、頭の中からあの涙は消えなかった。


2. 美陽の心に残る孤独


翌日、教室に入ると、

美陽はいつも通りクラスメイトと話していた。


「ねぇ、週末カフェ行かない?」


「行こう行こう!」


笑顔で会話する美陽。


だけど――


幸大は気づいていた。


“昨日の涙を知っている自分”だからこそわかる、無理に作られた笑顔。


(……気づいてねぇふり、してんのかよ)


そう思った瞬間、

胸が締めつけられるような感覚に襲われた。


(だったら、俺が気にすることでもねぇだろ)


でも、どうしてこんなに苦しいんだ。


3. 幸大の中の矛盾


放課後。


美術室で、幸大は無心で筆を動かしていた。


だけど、頭の中には”あの涙”しか浮かばない。


(……こんなこと考えたって意味ねぇのに)


キャンバスを見つめる。


描かれたのは、

無意識のうちに浮かび上がった**“美陽の後ろ姿”だった。**


「……」


(何やってんだ、俺)


筆を置くと、

ふっとため息がこぼれた。


4. 美陽が”何も言わない”ことへの違和感


帰り道、

偶然、美陽とすれ違った。


「あ……」


美陽も、一瞬幸大を見た。


だけど、すぐに目をそらして、

何事もなかったように通り過ぎる。


(……)


(なんで、何も言わねぇんだよ)


あの時泣いてたこと、何か理由があるはずなのに、

美陽は”何もなかったこと”にしていた。


まるで――


「もう、幸大には頼らない」って言われてるみたいだった。


5. それでも、守りたいと思ってしまう


幸大は、その場で立ち止まった。


(……これでいいのか?)


今までずっと、美陽が泣いていたら真っ先に駆けつけてきた。


だけど、もう”守る”ことはできない。


(これが、俺の選んだ道なんだろ)


(でも……)


そう言い聞かせても、

心の中で引っかかるものは消えなかった。


「……くそ」


呟いて、

幸大はその場を歩き出した。


遠ざかる美陽の背中を、追いかけることなく。


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