表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15年目の愛  作者: みいな
6/91

第6話 夏祭りとすれ違いの夜①

1. 夏祭りの始まり


「やっぱり、浴衣っていいよな」


橋本蓮はしもと れんは、にやりと笑いながら隣を歩く**高瀬美陽たかせ みはる**をちらっと見た。


「え、そう?」


美陽は、慣れない浴衣姿で少しぎこちなく歩きながら、蓮を見上げる。


「お前、いつもより雰囲気違うし、すげー可愛いって」


「……もう、そういうことすぐ言う!」


美陽はぷいっと横を向くが、少し頬が赤くなった。


「調子いいこと言ってるだけだから、気にしないで」


梨沙子りさこが淡々と言うと、蓮は肩をすくめた。


「まぁまぁ、事実だろ?」


そんな賑やかなやり取りを聞きながら、**高橋幸大たかはし ゆきひろ**は無言で歩いていた。


美陽の浴衣姿を見た瞬間、少しだけ目を奪われた。


だけど、それを悟られるのが嫌で、すぐに視線をそらした。


「……似合ってる」


ボソッと呟いた言葉は、誰の耳にも届かなかった。


夜の夏祭りは、すでに賑わいを見せていた。


屋台が立ち並び、焼きそばやたこ焼きの香りが漂う。


「わー! いっぱいある!」


美陽は楽しそうに目を輝かせた。


「何から食べよう?」


「まずはかき氷!」


「え、夜なのに?」


「お祭りっていったら、やっぱりかき氷でしょ!」


美陽がウキウキしながら並ぶと、蓮と梨沙子も後ろについた。


幸大は少しだけ後ろに下がり、黙ってついて行く。


「……」


彼にとって、祭りはただの行事に過ぎなかった。


でも、この時間だけは特別なものにしたかった。


ただ、それをどう表現していいのか分からなかった。


だから、何も言わずに、ただ美陽の後ろを歩いた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ