第59話 修学旅行が終わり、少し距離を感じる日常
1. 何事もなかったように戻る日常
修学旅行が終わり、夏がゆっくりと終わりに近づいていた。
学校の廊下には、沖縄での日焼けがまだ残る生徒たちの笑い声が響く。
「修学旅行、楽しかったよね!」
「またみんなで旅行行きたいなー!」
そんな中、美陽もクラスメイトたちと話しながら、
いつも通りの日常に戻ろうとしていた。
2. どこか違う、幸大の態度
でも――
“何かが変わってしまった”
美陽は、それをうまく言葉にできなかった。
(……幸大、最近あんまり話してくれない気がする)
教室で目が合っても、
彼はすぐに視線をそらすようになった。
以前なら、気づいたら隣にいたのに。
ふとした瞬間に、いつも話しかけてきていたのに。
今は――
あまりにも”距離”がある気がした。
3. 気づかないふりをする美陽
「ねぇ、美陽?」
「えっ?」
クラスメイトに声をかけられ、美陽はハッとする。
「どうしたの? なんかボーッとしてたけど」
「あ、ううん! なんでもない!」
笑顔を作って、誤魔化す。
(気のせい、だよね)
(私たちは、今までと変わらないはず)
でも――
そのあと教室の扉が開いて、幸大が入ってきた瞬間。
美陽は、反射的に彼の顔を探していた。
そして、その幸大は――
まるで”美陽がいないかのように”教室の奥の席へと向かっていった。
4. 「もう、気にしない」と決める
(……なんで?)
思わず、胸がモヤモヤする。
だけど、幸大の後ろ姿を見て、
美陽はゆっくりと深呼吸した。
(気にしちゃダメだ)
(私は、潤と付き合ってるんだから)
(もう、幸大のことで悩むのはやめよう)
そう決めたはずなのに。
幸大の後ろ姿が、どうしようもなく遠く感じた。




