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15年目の愛  作者: みいな
57/91

第57話 壊れていく家族、中学2年の夏

1. 穏やかに過ごしたかった夏


中学2年の夏。


「なぁ、美陽。アイス食いに行くか?」


夏休み、美陽と一緒に自転車を並べて走る。

蝉の鳴き声が響き、照りつける太陽が肌を焼くように熱い。


「いいね! 幸大のおごりで!」


「は? なんで俺が奢るんだよ」


「助けてもらったお礼ってことで!」


美陽は無邪気に笑った。


(あぁ、こういう時間がずっと続けばいいのに)


だけど、その願いはすぐに壊れることになる。


2. 父の不倫発覚


それは、ある夜のことだった。


母が台所で洗い物をしていた時、

彼女のスマホが鳴った。


「……え?」


母の表情が一瞬にして固まる。


幸大は、その様子を不審に思い、

そっと母の後ろから画面を覗き込んだ。


『旦那さん、浮気されてました。証拠写真もあります』


添付された写真には、

見知らぬ女性と父親が寄り添う姿がはっきりと写っていた。


「……っ!」


母はスマホを持つ手を震わせ、

すぐに父のもとへ向かう。


3. 崩壊する家庭


「あなた、これはどういうこと!?」


仕事から帰ってきた父に、母が写真を突きつける。


「……お前、どこでこれを」


「そんなのどうでもいいでしょ! 浮気してたの!?」


「……あぁ」


あまりにもあっさりと認める父。


「ふざけないでよ!」


「もう終わりだな」


冷めた声でそう言った父に、母は崩れ落ちた。


「……俺は福岡に行く。もうここにいる理由はない」


「ふざけるな!!」


幸大は耐えきれず、父に掴みかかった。


「母さんをこんなに苦しめて、ふざけんなよ!!」


「ガキが……」


父は幸大の手を振り払い、

**「お前には関係ねぇだろ」**と冷たく言い放つ。


(関係ない? ふざけんな……!)


(俺がどれだけこの家を支えようとしてたかも知らねぇくせに……!)


4. 弟・空大の決断


「離婚する」


翌日、母はそう言った。


父はそれに何も言わず、淡々と福岡へ行く準備を始める。


その時、弟の空大が静かに言った。


「俺、父さんについていく」


「……っ!?」


母が驚いて空大を見つめる。


「……母さんは、俺を育てるために大変でしょ?」


「空大……」


「福岡に行った方が、生活は安定するって……父さんが言ってた」


(そんなの……!)


幸大は何か言おうとしたが、

空大はどこか達観した目で**「兄ちゃん、ごめんね」**と微笑んだ。


5. 幸大の決意 - 母と生きる


父と弟は去り、

家には幸大と母だけが残った。


母は、リビングのソファに座り込んだまま、

ただ静かに涙を流していた。


「……もう、ダメかもしれない」


「母さん……」


「ごめんね、幸大……私、ちゃんとした母親じゃなくて……」


震える声を聞きながら、

幸大は、今までのことをすべて思い出した。


泣いている母を見ながら、

自分にできることは何かを考えた。


そして――


「俺がいるから、大丈夫だよ」


「俺が母さんを守るから」


6. “家族”と”美陽”の間で揺れる心


それからの幸大は、

“家族を守る”という新たな役割を背負うことになった。


母を支え、家を維持するために、

無駄遣いはせず、バイトをしながら生活を支えた。


だけど――


「幸大!」


笑顔で手を振る美陽を見た瞬間、

心のどこかで、**“俺にはこんな幸せは似合わない”**と思ってしまった。


(俺は美陽に、何も言えねぇ)


(俺なんかが、美陽の隣にいる資格なんてねぇ)


それ以来、幸大は美陽への想いを封じ込めるようになった。



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