第54話 壊れかけの家族 - 幼少期の幸大
1. 幼い頃から続く家の中の争い
「……また、喧嘩してる」
5歳の幸大は、小さな体を固くしてリビングの奥でうずくまっていた。
母の泣き声、父の怒鳴り声。
家の中はいつも、そんな音で満たされていた。
「お前が勝手なことばっかするからだろうが!」
「そんなことない……私は、ただ……!」
ガンッ!
鈍い音がして、母の身体が床に崩れ落ちる。
「母さん!!」
幸大は咄嗟に母の前に立ちはだかった。
2. 幸大の決意
父の怒りの目が、今度は幸大に向けられる。
「お前には関係ねぇだろ、ガキが……!」
「関係ある!!」
幼いながらも、必死に叫ぶ。
「母さんに手を出すな!!」
拳を握るが、力ではどうにもならない。
それでも、母を守るために、父に立ち向かることだけはやめなかった。
母は幸大の腕を引き、震える声で囁く。
「いいの……私が、我慢すればいいの」
「違う……違うよ……!」
母が耐えているから、家庭が壊れずに済んでいる。
でも、それは幸大にとって納得できる理由にはならなかった。
3. 空大を守る兄としての責任
泣きながら幸大にしがみついている、まだ2歳の弟・空大。
「空大は、俺が守る……母さんも」
この家がどれだけ壊れかけていようと、自分が支えなきゃいけない。
その日、幸大は強く、そう心に誓った。




