第50話 沖縄の海、5人の時間
1. 青い空と、広がる海
「うわぁ……すごい!」
目の前に広がるのは、透き通るような沖縄の青い海。
砂浜は眩しいくらいに白く、どこまでも広がる水平線が気持ちを軽くさせる。
「やっば……これ、写真撮らなきゃ!」
美陽はスマホを取り出し、夢中で海を撮り始めた。
「めっちゃ綺麗だな!」
「海入るの楽しみ!」
5人の班行動で訪れた沖縄のビーチ。
クラスの他の班も周囲にいて、みんなそれぞれの時間を楽しんでいた。
2. 遠くから見つめる視線
「さて、誰が一番泳げるか勝負するか!」
蓮の提案に、潤と幸大が反応する。
「お、いいな」
「負ける気しねぇな」
「じゃあ決まり。最下位はアイス奢りな!」
男子3人が競い合うように海へ向かうのを見送りながら、美陽と梨沙子は砂浜に残った。
「男子ってほんと、すぐ競争したがるよね」
「ね。でも、幸大と潤が競ってるの、なんか珍しい」
「……そう?」
美陽は、何気なく海の方を見る。
そこには、並んで泳ぐ幸大と潤の姿があった。
競争しながらも、どこかお互いを意識しているように見える。
美陽は、それをただ黙って見つめた。
3. ふと、視線が止まる
「……幸大、今、どんな気持ちなんだろう」
自分でも、なんでそんなことを考えたのかわからない。
(潤と付き合ってるのに)
(なのに、なんで……幸大のこと、見ちゃうんだろう)
幸大の横顔が、目に焼きつく。
それに気づいた美陽は、慌てて視線をそらした。
「……なんでもない!」
梨沙子に気づかれないように、砂浜にしゃがみ、無意味に砂に落書きをする。
4. 近づく距離、遠ざかる距離
競争を終えた男子たちが戻ってくる。
「っはー! やっぱ海は最高だな!」
「ねぇねぇ、誰が勝ったの?」
「まぁ……引き分けってことで」
「えー!」
蓮と潤がふざけ合う中、幸大は静かにタオルで髪を拭いていた。
その姿を、また美陽は無意識に目で追ってしまう。
(ダメだってば)
胸の奥が、モヤモヤする。
(私は潤といるんだから)
自分に言い聞かせるように、美陽は潤の腕にそっと触れた。
「ねぇ、そろそろご飯行こう?」
「お、いいね!」
「タコライスにしよー!」
みんなが盛り上がる中、幸大はただ静かに、美陽と潤を見ていた。
(……笑ってりゃいいんだよ、俺も)




