第42話 広がる嘘の噂
1. 愛里の策略 - ねじ曲げられる美陽の評判
「ねぇ、美陽ちゃんって潤くん以外にも男と仲良いらしいよ」
「え、マジ? なんかさ、幸大くんとも仲良かったみたいだし」
「え、それって二股ってこと?」
昼休み、廊下や教室のあちこちで、美陽に関する妙な噂が囁かれ始めていた。
“潤くんのこと、本気じゃないらしいよ”
“幸大くんとも特別だったって話もあるし”
最初は小さな囁きだったそれは、日を追うごとに大きくなっていった。
2. 美陽の困惑 - 知らない間に変わる周囲の態度
「……あれ?」
美陽は気のせいか、最近みんなの態度が少し変わってきた気がした。
・今まで普通に話していたクラスメイトが、なんとなく距離を取る。
・視線を感じることが増えた。
・廊下を歩くと、どこかでコソコソと話している声がする。
(私、何かしたっけ……?)
美陽は違和感を覚えながらも、気にしないようにした。
でも――
「……ねぇ、もしかして美陽って、潤くんのことそんなに好きじゃないの?」
友人の何気ない一言に、胸がぎゅっと締めつけられる。
「え……そんなことないよ?」
「でも、幸大くんとも仲良かったんでしょ?」
「えっ?」
「なんかさ……色んな男と仲良くしてるみたいな噂あるよ?」
「そ、そんなこと……!」
美陽は焦って否定した。
(なんで、そんな話になってるの!?)
3. 愛里の微笑み - 操られる噂
そんな美陽の様子を、愛里は遠くから観察していた。
(ふふ……やっぱりね)
美陽は、何も気づいていないまま愛里を信じている。
だからこそ、彼女の知らないところで傷つけるのが面白かった。
「ねぇ、知ってる?」
愛里は、さらりと噂に尾ひれをつけていく。
「美陽ちゃん、潤くんと幸大くんの間で揺れてるらしいよ」
「え、こわ……二股?」
「まぁ、本人に聞いたわけじゃないけどね?」
まるで”私はただ聞いただけ”という無責任な態度を装いながら、噂を広め続けた。
4. 幸大の違和感 - 誰がこんな噂を流してる?
「……美陽が二股?」
幸大は、廊下ですれ違いざまに耳に入った言葉に、眉をひそめた。
(なんだ、それ……)
そんなはずがない。
美陽が潤と付き合っているのは知っている。
それなのに、どうしてこんなデタラメな話が出回ってるんだ?
「なぁ、誰がこんなこと言ってんだ?」
クラスメイトに尋ねても、みんな曖昧に「噂だから」と濁すだけ。
(……これは、誰かが意図的に流してるな)
そして、幸大はその”発信源”に心当たりがあった。
(……柳田、か?)




