第34話 誕生日当日 - 幸大の決意
12月11日――美陽の誕生日。
冷たい冬の風が吹く中、教室はどこか温かい空気に包まれていた。
「おめでとう、美陽!!!」
クラスメイトたちの明るい声と拍手が響く。
黒板には「HAPPY BIRTHDAY MIHARU!!」とカラフルなチョークで書かれ、机の上にはプレゼントやお菓子が並んでいた。
「わぁ……すごい!」
美陽は目を輝かせながら、みんなの顔を見渡した。
「本当にありがとう!」
クラスのみんなが、笑顔で彼女を祝福していた。
1. みんなで祝う、楽しい時間
「これ、プレゼント! 似合いそうだなって思って!」
「私からは、お菓子詰め合わせ!」
「ケーキもあるよ!」
次々と渡されるプレゼントに、美陽は「すごい! ありがとう!」と嬉しそうに笑う。
「ほんとにみんな、ありがとう……!」
その場の雰囲気は、温かくて優しかった。
だけど、幸大はその輪の中に入れず、ただ静かに座っていた。
2. 潤からのプレゼント
「さて、じゃあ俺からも」
そう言いながら、潤が前に出た。
「え、潤くんも?」
「当たり前だろ?」
潤は、軽く笑いながらポケットから小さな箱を取り出した。
「はい、誕生日プレゼント」
美陽は驚きながらも、箱を開ける。
中に入っていたのは――シルバーのネックレス。
「……綺麗」
シンプルだけど、洗練されたデザイン。
大人っぽい雰囲気で、美陽にぴったりだった。
「潤くん、ありがとう……!」
「似合いそうだなって思ってさ」
「すごく嬉しい」
そう言って、美陽は自然と潤を見つめた。
その瞬間――
幸大の胸の奥が、ギリッと痛んだ。
3. 幸大の視点 - 遠ざかる距離
幸大は、静かに二人のやり取りを見つめていた。
美陽が、潤を見て微笑んでいる。
まるで、それが当たり前の光景のように。
(……俺は、何やってんだろう)
ずっと、隣にいたはずだった。
ずっと、彼女のことを見ていた。
なのに――
「……」
自分は、ただ黙って見ているだけしかできなかった。
4. 変わる気持ち、動き出す想い
誕生日会が終わり、みんなが片付けを始める頃。
幸大は、静かに教室を出た。
冬の冷たい風が頬を刺す。
(……美陽は、潤と付き合ってる)
(もう、俺の隣にはいない)
でも――
(それでも、諦められない)
(このまま何も言わずに、手を引くなんてできるわけがない)
ポケットの中に入っていた、小さな包みを握りしめる。
それは、幸大が美陽のために用意していた誕生日プレゼントだった。
だけど、渡せなかった。
(俺は、まだお前を諦めたくない)
(このままじゃ終われない)
幸大は、冷たい風の中で一つ深呼吸をした。
そして、静かに決意する。
――俺は、必ず美陽を取り戻す。




