第30話 美陽の誕生日が近づく - クラスでの準備
12月が近づき、学校の廊下にも冬の冷たい空気が満ち始めていた。
美陽の誕生日、12月11日まであと一週間。
クラスメイトたちは、自然と「みんなでお祝いしよう!」という話になっていた。
「美陽の誕生日、今年はちゃんと計画しようぜ!」
「去年はちょっとしたサプライズだったけど、今年はちゃんとプレゼントとかも準備したいよね」
「潤、企画してよ! 文化祭の時もまとめてたし!」
みんなの期待を受けて、潤は「まぁ、そういうの得意だしな」と自信ありげに頷く。
「任せろ。最高の誕生日にしてやるよ」
一方で、幸大は静かにそのやり取りを聞いていた。
「……誕生日か」
(今年も、普通に祝えると思ってた。でも、美陽はもう……)
このまま、みんなで楽しく祝えばいい。
それが一番だってわかってるのに、どこか胸の奥が重い。
(俺、何をモヤモヤしてるんだろうな)
美陽が喜んでくれるなら、それでいい。
そう思うのに――どうしてか、胸が痛む。
そんなことを考えていると、潤が幸大に向かって話しかけてきた。
「幸大、お前もちゃんと参加しろよ?」
「……別に、当たり前だろ」
「なら、プレゼントも用意しとけよ。ちゃんと良いやつ選べよな」
「……言われなくても」
潤の表情はいつもと変わらない。
だけど、その言葉にはどこか自信に満ちた響きがあった。
(……なんだ、こいつ)
幸大は、何かを言い返したかったが、結局何も言えずにその場を去った。




