第23話 文化祭の余韻と、新たな誘い
第1話:打ち上げと、美陽の避ける気持ち
翌週、文化祭の打ち上げが行われることになった。
ファミレスの大広間を貸し切り、クラスのほぼ全員が集まった。
先生も参加して、文化祭の思い出を語りながら、大いに盛り上がる。
「乾杯ー!!」
飲み物のグラスがぶつかり合い、にぎやかな声が飛び交う。
「演劇、マジでよかったよ!」
「潤、カッコよかった!」
「美陽の演技、感動した!」
みんなの言葉に、美陽は照れながらも笑う。
「ありがとう……でも、本当にみんなが協力してくれたおかげだよ」
「いやいや、美陽の涙のシーン、やばかったって!」
クラスメイトたちは楽しそうに語り合い、文化祭の余韻に浸っていた。
幸大との距離
しかし、美陽は――
ずっと、幸大を避けていた。
同じファミレスの中にいるのに、できるだけ遠い席に座り、彼と目が合わないようにする。
(……話したら、また気持ちが揺らいじゃう)
そう思って、できるだけ距離を取った。
でも、ふとした瞬間に視線を感じる。
――幸大が、じっとこちらを見ている。
目が合った瞬間、美陽は反射的に目を逸らした。
幸大の視線が、自分に向けられているのがわかる。
でも、どうしても目を合わせることができなかった。
幸大の戸惑い
幸大は、飲み物を飲みながら、静かに美陽の様子を見ていた。
(……俺、避けられてるな)
それは、気のせいじゃない。
文化祭が終わってからずっと、美陽は俺を避けている。
(なんで……俺、何かしたか?)
でも、思い当たることがない。
――いや、ある。
(聖羅と話してたとき……?)
文化祭の日、美陽が突然「準備しなきゃ」と言ってその場を離れたのは、聖羅と自分が話している時だった。
(……もしかして、それが原因か?)
それとも、舞台で潤と一緒だったから?
考えても、答えは出なかった。
ただ一つわかるのは――
(今のお前、俺を見ようとしない)
それが、無性に嫌だった。
打ち上げの盛り上がり
そんな幸大の気持ちとは関係なく、打ち上げはどんどん盛り上がっていく。
「そういえばさ、舞台の告白シーン、めっちゃリアルだったよな!」
「え、やめてよ!」
美陽は照れながら、クラスメイトたちの話に笑って答えた。
「潤、完璧だったよな」
「本当に役者みたいだった!」
みんなに褒められ、潤は「まぁな」と余裕の笑みを浮かべる。
「でも、あのシーン、普通に美陽も泣いてたよな?」
「そ、それは演技だから……!」
「もしかして、潤のこと意識しちゃった?」
「してない!」
「ほんとに~?」
からかわれて、美陽は必死に否定する。
だけど、潤は軽く笑いながら、さらっと言った。
「まぁ、そういう流れになったら、それはそれで悪くないけど?」
「ちょっ……!」
美陽は驚いて、思わず顔を赤くした。
クラスメイトたちは「おぉ~!」と盛り上がる。
(冗談だってわかってるのに……なんで、ちょっとドキッとしちゃうんだろう)
その一方で――
幸大は、その会話を黙って聞いていた。
(……なんか、ムカつく)
でも、それを表に出すことはできなかった。
美陽が、潤と話して笑っているのを見て、
それがすごく遠く感じて――
どうしようもなく、焦っていた。




