表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15年目の愛  作者: みいな
13/91

第13話 過去編 - 幼い日の出会いと揺れる気持ち

1. 小学校の入学式(美陽と幸大の出会い)


4月――


桜の花びらが舞い散る小学校の校庭。


少し緊張した表情の子どもたちが、ピカピカのランドセルを背負いながら、ぞろぞろと体育館に集まっていた。


「1年1組の子は、こちらの列に並んでくださいね~!」


先生たちの誘導に従いながら、小さな身体の子どもたちが整列していく。


その中に、ひとり、少し不安そうに立っている少女がいた。


高瀬美陽たかせ みはる


初めての小学校生活。


幼稚園の友達は、別の学校に行ってしまった子も多くて、知らない子ばかりの教室に向かうのが少し怖かった。


(大丈夫かな……)


不安な気持ちを抱えたまま、指定された席に座ると、隣の席の男の子がちらりとこちらを見た。


「お前、緊張してんの?」


少し生意気そうな声だった。


美陽は驚いて、隣の男の子を見た。


少しぼさっとした黒髪、きりっとした目つき。


「……うん、ちょっとだけ」


そう言うと、彼はふっと鼻を鳴らした。


「ふーん。俺は別に緊張しねぇけど」


「えっ?」


なんだか偉そうな言い方に、美陽は思わずむっとした。


「じゃあ、最初の自己紹介とかも平気なの?」


「まあな」


「すごいね……」


感心するように呟くと、彼は少しだけ得意げな顔をした。


「お前、名前なんて言うの?」


「あっ、私は高瀬美陽」


「俺は高橋幸大」


「こうだいくん?」


「いや、ゆきひろ」


「ゆきひろ……なんかかっこいい名前だね」


そう言うと、幸大はちょっと目をそらして、ぼそっと呟いた。


「……まあ、悪くねぇだろ」


美陽は、なんだかちょっと面白い子だな、と思った。


緊張していた気持ちが、少しだけ軽くなる。


(この子と一緒なら、大丈夫かも)


そんな風に感じた、入学式の朝だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ