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 骨子だし素案だけど、提案書は祷が作ってくれると言っていた。

 とにかく早く伝えることの方が優先順位が高いだろうと思い、手書きのほとんどメモ状態のアイデアと、口頭の説明で伝えた。

 不足や修正点があれば、その場で指摘してもらって直した方が、早く完成形に近づけると思った。


「なるほど。何人かの人気選手をピックアップして、踊ってもらうのね」



 これまでのイベントで人気があったのは、選手のコスプレ企画と、カラオケ企画だ。

 特にノリの良い選手、いじられキャラの選手が笑いを取れる格好をすると、会場は爆笑の渦に包まれる。


 サンバはバラエティ番組などで、賑やかし要員として使われることが多いが、おふざけやお笑いの要素として用いられることもある。

 選手が笑いを取るという方向性とは相性が良いと思えた。

 衣装が派手で特徴的でもあるので、その手のコスプレにも向いている。


 一方、サンバはサッカーが盛んなブラジル発祥のダンスミュージックだ。

 得点を決めたときに、パフォーマンスでサンバの基本ステップ『サンバ・ノ・ぺ』を取り入れたダンスを踊る選手もいるくらい、サッカーとサンバは意外と相性が良い。

 応援にサンバでも使用するブラジルの楽器を使用することもある。


 選手の中には南米出身で趣味がダンスというひともいた。その選手以外にも踊れそうな選手は何人かいそうだ。

 サンバを踊れるかはわからないけど、上手くなくて良いし見よう見まねで良いのだ。


 選手に何かをしてもらうというのは少しハードルは高いかもしれない。

 選手が嫌がれば無理だろうし、仮に選手がノリノリでも、運営の意向でNGもあり得る。


 それでも、これまでのイベントの内容を見るに、阿波ゼルコーバはどちらかと言えば柔軟で、選手はフランクでノリが良く、楽しいことやファンが喜ぶことを優先しているように見えた。



 サンバに本気で取り込んでいるサンビスタが選手の周りを固めるのだ。

 賑やかしやお笑いで終わらせるつもりはない。

 選手の衣装の見た目のインパクトで驚かせ、笑わせ、選手のダンスや歌でファンを喜ばせながらも、本格サンバで感嘆させる。


 楽曲はファンが知らないであろうサンバの曲はやめておいた方が良いだろうか?

 サンバといえばすぐに思いつくマツケンサンバは悪くはないが今回は避ける。イメージが強すぎて、サンバを踊るというよりも、マツケンサンバを踊るといった態になってしまうと思われた。マツケンサンバはもはやそれ単体でひとつのコンテンツになる。

 誰もが知っている盛り上がる系のJ-POPと、チームの応援歌。計十分弱くらい......いや、これは選手のカラオケ企画に組み込める。

 サンバショー本体としては、やっぱりサンバの楽曲を使おう。

 曲を認知されていなくても、ダンサーの見た目とバテリアの瀑音で心を掴める自信がある。

 そして、サンバの楽曲は言うほどとっつきにくいものではない。現代の日本で生まれ育った日本人の感性の持ち主として、先入観なくサンバの曲を聴いたとして、違和感がないどころか、普通に「良い曲だな」と思える曲も多い。

 ここは変に日和らず、きちんとサンバを楽しんでもらおう。


 サンバショーを終えても、一部のサンバ隊はそのまま残り、その後の企画にバックグラウンドのサウンドや賑やかしのダンスで終始盛り上げ役を担う。カラオケ企画では誰もが知っている馴染みの深い曲とも融合できることを示せるだろう。



 そこまでやることで、予算五十万円くらいを獲れないかなと考えていた。

 協力してくれる現地のチームやサンビスタへの分配と、『ソルエス』メンバーの渡航費を考慮したら、それでも潤沢とはいえないが、金額を上げればあげるほどハードルも上がる。

 姫田グループと阿波ゼルコーバ運営で折半の提案が成れば、無理筋とまではいえない要求じゃないかなと思った。

 それぞれにとって、三十万円くらいの効果を見出してもらえれば、コストパフォーマンスとしては悪いものではない。






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