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 わたしはそんなに悲壮な表情をしていたのだろうか。

 祷は椅子から立って、ソファのわたしの隣に腰を下ろした。軽く頭を撫でながら、「私たちがバックアップするって言ってるでしょ? 全部がんちゃんが背負う必要はないんだよ。安心してね」と言った。


 続けて、具体的なことを伝えてくれた。

 確かに、メンタル面で安心感を与えてくれるのも必要だが、具体的になんとかなりそうだと思わせてくれないと不安は払拭できない。



 まず、姫田の担当にプレゼンをする。

 これは、スポンサーの立場で、阿波ゼルコーバのファン感謝イベントの担当に推してもらうことを目的としている。

 イベントの構成に組み込ませ、予算を組むのはチーム側の方だ。


 なので、最初のプレゼンは、自社が地域貢献を目的にスポンサーをしているチームのイベントにとって、プラスになる面白い取り組み、かつ物理的な制限や時間的な制限、予算的な制限下において現実的で、リスクのないものであれば推しやすいだろう。

 イベントは時期的には一ヶ月半後。決して余裕はない。大枠はもう決まっている可能性が高い。一方、これまでのファン感謝イベントを見ていると、選手たちがカラオケをしたり、バラエティ番組のようにクイズして罰ゲームしたりと、はっきり言ってその場で用意したような企画も多い。ねじ込める余地は充分にある。リスクのないと言う意味で言えば、この辺の調整に手間をかけさせず、全てこちらでお膳立てしてあげるくらいの内容で持っていきたい。


 最初の姫田へのプレゼンの難易度を少し上げて、スポンサー側の姫田に、予算の一部でも負担させられたらその後の勝ち筋は相当濃くなる。その可能性も追求したい。



 姫田へのプレゼンの後に控える阿波ゼルコーバの担当者へのプレゼンは、更に観客のニーズに沿っていて、サッカーやサッカー選手たちとの親和性が高い企画となっていることが求められるだろう。



 別側面のケアすべき課題として、地域や地元にサンバチームがあった場合、そこに筋を通しておく必要もある。

 阿波という土地柄、阿波踊りなどの地域特有の文化に関しての配慮も必要かもしれない。




 裏を返せば、今挙げられた点をクリアできれば、実現し得るのだ。

 確かに、まるで不可能なものに挑むと言うわけでもなさそうに感じた。


 その必須条件をクリアしたアイデアに、わたしの想い、やりたいこと、希望を載せたものを提案とすれば良い。


 その提案がよりクライアントや観客に刺さるように、情報を集め、その提案が担当者により魅力的に映るように、提案書やプレゼン資料を整える。その部分は祷たちやウリさんたちが助けてくれる。確かにそれは心強い。


 そして、実際のパフォーマンスで担当の方にサンバを感じてもらい、その魅力を肌で実感させるのだ。


 なんだかできそうな気がしてきた。

 

 しかし時間がない。残り時間を考えれば一週間以内にまとめたい。確定してから先方も調整があるだろうし、遠方の案件になるから、『ソルエス』側も出演者の調整から、イベントの練習までこなさなくてはならないのだから、短くても中一ヶ月は必要だろう。



 準備やプレゼン時のパフォーマンスの練習も含めて、わたしはやれるだろうか?

 チームのみんなは、そのスケジュール感で動けるのだろうか?




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